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 99首  
   紀貫之 きのつらゆき
 
 
   生年   不明    没年   945年(天慶 八)
 父   紀茂行    母   ?

古今和歌集の撰者の一人。
仮名序では「御書の所の預り」とされている。

−− 年代考 −−
生年は872年(貞観 十四)か。没年についても 「古今和歌集目録」では、946年(天慶 九)とされている。ただ、872年生れとすると土佐守赴任が五十九歳、従五位上を賜ったのが七十二歳ということになるので、高齢すぎるような気がするが、安倍清行のような例もあるので何とも言えない。
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巻一  0002  袖ひちて むすびし水の こほれるを 春立つ今日の 風やとくらむ  春歌上
巻一  0009  霞立ち 木の芽もはるの 雪降れば 花なき里も 花ぞ散りける  春歌上
巻一  0022  春日野の 若菜つみにや 白妙の 袖ふりはへて 人のゆくらむ  春歌上
巻一  0025  我が背子が 衣はるさめ ふるごとに 野辺の緑ぞ 色まさりける  春歌上
巻一  0026  青柳の 糸よりかくる 春しもぞ 乱れて花の ほころびにける  春歌上
巻一  0039  梅の花 匂ふ春べは くらぶ山 闇に越ゆれど しるくぞありける  春歌上
巻一  0042  人はいさ 心も知らず ふるさとは 花ぞ昔の 香に匂ひける  春歌上
巻一  0045  くるとあくと 目かれぬものを 梅の花 いつの人まに うつろひぬらむ  春歌上
巻一  0049  今年より 春知りそむる 桜花 散ると言ふことは ならはざらなむ  春歌上
巻一  0058  誰しかも とめて折りつる 春霞 立ち隠すらむ 山の桜を  春歌上
巻一  0059  桜花 さきにけらしな あしひきの 山のかひより 見ゆる白雲  春歌上
巻二  0078  ひと目見し 君もや来ると 桜花 今日は待ちみて 散らば散らなむ  春歌下
巻二  0079  春霞 何隠すらむ 桜花 散る間をだにも 見るべきものを  春歌下
巻二  0082  ことならば 咲かずやはあらぬ 桜花 見る我さへに しづ心なし  春歌下
巻二  0083  桜花 とく散りぬとも 思ほえず 人の心ぞ 風も吹きあへぬ  春歌下
巻二  0087  山高み 見つつ我がこし 桜花 風は心に まかすべらなり  春歌下
巻二  0089  桜花 散りぬる風の なごりには 水なき空に 浪ぞたちける  春歌下
巻二  0094  三輪山を しかも隠すか 春霞 人に知られぬ 花や咲くらむ  春歌下
巻二  0115  梓弓 はるの山辺を 越えくれば 道もさりあへず 花ぞ散りける  春歌下
巻二  0116  春の野に 若菜つまむと こしものを 散りかふ花に 道は惑ひぬ  春歌下
巻二  0117  宿りして 春の山辺に 寝たる夜は 夢の内にも 花ぞ散りける  春歌下
巻二  0118  吹く風と 谷の水とし なかりせば み山隠れの 花を見ましや  春歌下
巻二  0124  吉野川 岸の山吹 吹く風に 底の影さへ うつろひにけり  春歌下
巻二  0128  鳴きとむる 花しなければ うぐひすも はてはものうく なりぬべらなり  春歌下
巻三  0156  夏の夜の ふすかとすれば 郭公 鳴くひと声に 明くるしののめ  夏歌
巻三  0160  五月雨の 空もとどろに 郭公 何を憂しとか 夜ただ鳴くらむ  夏歌
巻三  0162  郭公 人まつ山に 鳴くなれば 我うちつけに 恋ひまさりけり  夏歌
巻四  0170  川風の 涼しくもあるか うちよする 浪とともにや 秋は立つらむ  秋歌上
巻四  0232  たが秋に あらぬものゆゑ 女郎花 なぞ色にいでて まだきうつろふ  秋歌上
巻四  0240  宿りせし 人の形見か 藤ばかま 忘られがたき 香に匂ひつつ  秋歌上
巻五  0256  秋風の 吹きにし日より 音羽山 峰の梢も 色づきにけり  秋歌下
巻五  0260  白露も 時雨もいたく もる山は 下葉残らず 色づきにけり  秋歌下
巻五  0262  ちはやぶる 神のいがきに はふくずも 秋にはあへず うつろひにけり  秋歌下
巻五  0276  秋の菊 匂ふかぎりは かざしてむ 花より先と 知らぬ我が身を  秋歌下
巻五  0280  咲きそめし 宿しかはれば 菊の花 色さへにこそ うつろひにけれ  秋歌下
巻五  0297  見る人も なくて散りぬる 奥山の 紅葉は夜の 錦なりけり  秋歌下
巻五  0299  秋の山 紅葉をぬさと たむくれば 住む我さへぞ 旅心地する  秋歌下
巻五  0311  年ごとに もみぢ葉流す 竜田川 みなとや秋の とまりなるらむ  秋歌下
巻五  0312  夕月夜 小倉の山に 鳴く鹿の 声の内にや 秋は暮るらむ  秋歌下
巻六  0323  雪降れば 冬ごもりせる 草も木も 春に知られぬ 花ぞ咲きける  冬歌
巻六  0331  冬ごもり 思ひかけぬを 木の間より 花と見るまで 雪ぞ降りける  冬歌
巻六  0336  梅の香の 降りおける雪に まがひせば 誰かことごと わきて折らまし  冬歌
巻六  0342  ゆく年の 惜しくもあるかな ます鏡 見る影さへに くれぬと思へば  冬歌
巻七  0352  春くれば 宿にまづ咲く 梅の花 君が千歳の かざしとぞ見る  賀歌
巻七  0363  白雪の 降りしく時は み吉野の 山下風に 花ぞ散りける  賀歌
巻八  0371  惜しむから 恋しきものを 白雲の たちなむのちは なに心地せむ  離別歌
巻八  0380  白雲の 八重にかさなる をちにても 思はむ人に 心へだつな  離別歌
巻八  0381  別れてふ ことは色にも あらなくに 心にしみて わびしかるらむ  離別歌
巻八  0384  音羽山 こだかく鳴きて 郭公 君が別れを 惜しむべらなり  離別歌
巻八  0390  かつ越えて 別れもゆくか あふ坂は 人だのめなる 名にこそありけれ  離別歌
巻八  0397  秋萩の 花をば雨に 濡らせども 君をばまして 惜しとこそ思へ  離別歌
巻八  0404  むすぶ手の しづくに濁る 山の井の あかでも人に 別れぬるかな  離別歌
巻九  0415  糸による ものならなくに 別れぢの 心細くも 思ほゆるかな  羇旅歌
巻十  0427  かづけども 浪のなかには さぐられで 風吹くごとに 浮き沈む玉  物名
巻十  0428  今いくか 春しなければ うぐひすも ものはながめて 思ふべらなり  物名
巻十  0436  我はけさ うひにぞ見つる 花の色を あだなるものと 言ふべかりけり  物名
巻十  0439  をぐら山 峰たちならし 鳴く鹿の へにけむ秋を 知る人ぞなき  物名
巻十  0460  うばたまの 我が黒髪や かはるらむ 鏡のかげに 降れる白雪  物名
巻十  0461  あしひきの 山辺にをれば 白雲の いかにせよとか 晴るる時なき  物名
巻十一  0471  吉野川 岩波高く 行く水の 早くぞ人を 思ひそめてし  恋歌一
巻十一  0475  世の中は かくこそありけれ 吹く風の 目に見ぬ人も 恋しかりけり  恋歌一
巻十一  0479  山桜 霞の間より ほのかにも 見てし人こそ 恋しかりけれ  恋歌一
巻十一  0482  あふことは 雲ゐはるかに なる神の 音に聞きつつ 恋ひ渡るかな  恋歌一
巻十二  0572  君恋ふる 涙しなくは 唐衣 胸のあたりは 色もえなまし  恋歌二
巻十二  0573  世とともに 流れてぞ行く 涙川 冬もこほらぬ みなわなりけり  恋歌二
巻十二  0574  夢ぢにも 露や置くらむ 夜もすがら かよへる袖の ひちてかわかぬ  恋歌二
巻十二  0579  五月山 梢を高み 郭公 鳴く音空なる 恋もするかな  恋歌二
巻十二  0583  秋の野に 乱れて咲ける 花の色の ちぐさに物を 思ふころかな  恋歌二
巻十二  0587  まこも刈る 淀の沢水 雨降れば 常よりことに まさる我が恋  恋歌二
巻十二  0588  越えぬ間は 吉野の山の 桜花 人づてにのみ 聞き渡るかな  恋歌二
巻十二  0589  露ならぬ 心を花に 置きそめて 風吹くごとに 物思ひぞつく  恋歌二
巻十二  0597  我が恋は 知らぬ山ぢに あらなくに 惑ふ心ぞ わびしかりける  恋歌二
巻十二  0598  紅の ふりいでつつ なく涙には 袂のみこそ 色まさりけれ  恋歌二
巻十二  0599  白玉と 見えし涙も 年ふれば 唐紅に うつろひにけり  恋歌二
巻十二  0604  津の国の 難波の葦の 芽もはるに しげき我が恋 人知るらめや  恋歌二
巻十二  0605  手もふれで 月日へにける 白真弓 おきふし夜は いこそ寝られね  恋歌二
巻十二  0606  人知れぬ 思ひのみこそ わびしけれ 我がなげきをば 我のみぞ知る  恋歌二
巻十三  0633  しのぶれど 恋しき時は あしひきの 山より月の いでてこそくれ  恋歌三
巻十四  0679  いそのかみ ふるのなか道 なかなかに 見ずは恋しと 思はましやは  恋歌四
巻十四  0697  敷島や 大和にはあらぬ 唐衣 ころもへずして あふよしもがな  恋歌四
巻十四  0729  色もなき 心を人に 染めしより うつろはむとは 思ほえなくに  恋歌四
巻十四  0734  いにしへに なほ立ち返る 心かな 恋しきことに もの忘れせで  恋歌四
巻十五  0804  初雁の 鳴きこそ渡れ 世の中の 人の心の 秋し憂ければ  恋歌五
巻十六  0834  夢とこそ 言ふべかりけれ 世の中に うつつあるものと 思ひけるかな  哀傷歌
巻十六  0838  明日知らぬ 我が身と思へど 暮れぬ間の 今日は人こそ かなしかりけれ  哀傷歌
巻十六  0842  朝露の おくての山田 かりそめに うき世の中を 思ひぬるかな  哀傷歌
巻十六  0849  郭公 今朝鳴く声に おどろけば 君に別れし 時にぞありける  哀傷歌
巻十六  0851  色も香も 昔の濃さに 匂へども 植ゑけむ人の 影ぞ恋しき  哀傷歌
巻十六  0852  君まさで 煙絶えにし 塩釜の うらさびしくも 見え渡るかな  哀傷歌
巻十七  0880  かつ見れば うとくもあるかな 月影の いたらぬ里も あらじと思へば  雑歌上
巻十七  0881  ふたつなき ものと思ひしを 水底に 山の端ならで いづる月影  雑歌上
巻十七  0915  沖つ浪 たかしの浜の 浜松の 名にこそ君を 待ちわたりつれ  雑歌上
巻十七  0916  難波潟 おふる玉藻を かりそめの 海人とぞ我は なりぬべらなる  雑歌上
巻十七  0918  雨により たみのの島を 今日ゆけど 名には隠れぬ ものにぞありける  雑歌上
巻十七  0919  あしたづの 立てる川辺を 吹く風に 寄せてかへらぬ 浪かとぞ見る  雑歌上
巻十七  0931  咲きそめし 時よりのちは うちはへて 世は春なれや 色の常なる  雑歌上
巻十八  0980  思ひやる 越の白山 知らねども ひと夜も夢に 越えぬ夜ぞなき  雑歌下
巻十九  1002  ちはやぶる 神の御代より 呉竹の 世よにも絶えず 天彦の...  雑体
巻十九  1010  君がさす 三笠の山の もみぢ葉の色 神無月 時雨の雨の...  雑体

■ 詞書に名前が出てくる歌
巻十七  0914  君を思ひ おきつの浜に 鳴くたづの 尋ねくればぞ ありとだに聞く  雑歌上

   
 906年  延喜 六  一月 従五位下
 二月 越前権少掾
 907年  延喜 七  二月 内膳典膳
 910年  延喜 十  二月 少内記
 913年  延喜 十三  四月 大内記
 917年  延喜 十七  一月 加賀介
 918年  延喜 十八  二月 美濃介
 923年  延長 元  六月 大監物
 929年  延長 七  九月 右京亮
 930年  延長 八  一月 土佐守
 940年  天慶 三  三月 玄蕃頭
 943年  天慶 六  一月 従五位上
 945年  天慶 八  三月 木工権頭
 没