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       神のやしろのあたりをまかりける時に、いがきのうちのもみぢを見てよめる 紀貫之  
262   
   ちはやぶる  神のいがきに  はふくずも  秋にはあへず  うつろひにけり
          
     
  • ちはやぶる ・・・ 神にかかる枕詞
  • いがき ・・・ 神社の回りの垣根 (斎垣)
  • くず ・・・ マメ科のつる草の名前 (葛:=クズ)
  詞書の意味は「神社の近くに行った時、垣根の中の紅葉を見て詠んだ」歌ということで、
神の垣根に這うクズの葉も、秋には耐え切れずに色が変わってしまった、という歌である。

  詞書で「いがきのうちの」と言っていることから、神様の近くなのに、という発想からきていることがわかる。 254番の「ちはやぶる 神なび山の もみぢ葉に」という読人知らずの歌を呼応しているような感じもあり、261番と 263番の二つの笠取山の歌の間を 「いがき」で仕切っているようにも見える。 「ちはやぶる」という枕詞を使った歌の一覧については 254番の歌のページを参照。

  また、「あへず」という言葉を使った歌の一覧については 7番の歌のページを、「うつろふ」という言葉を使った歌の一覧については 45番の歌のページを参照。

 
( 2001/12/10 )   
(改 2004/02/25 )   
 
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