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- 白真弓 ・・・ マユミの木に何も塗装をしないで作った弓 (しらまゆみ)
"いこそ寝られね" は 「寝ぬ(いぬ)」に 「こそ」が間に入ったかたち。 「弓」の縁語で「射」が掛けられているといわれる。また 610番の春道列樹(はるみちのつらき)の歌に 「梓弓〜よるこそまされ」とあるように、「夜」は弓を引いて矢と弦が身に 「寄る」ことを掛けている。契沖「古今余材抄」では 「弓のふりたつると引きふせるとをおきふしといふ」とし 「おきふし」も弓を扱う動作として弓の縁語とみなしているが微妙。古今和歌集の配列で言えば、一つ前の 604番の歌の 「芽もはるに」から 「はる−張る」つながりでこの 「白真弓」の歌が置かれているという感じはする。
歌の意味は、手も触れずにこうして月日が経ってしまったことを思って、起きたり伏したり思い悩む夜は、眠ることなどできない、ということ。 「こそ」の係り結びで連用形で 「寝ね」から 「寝られね」という終わり方が、現代から見ると面白い味を出している。似たようなものとしては 659番の読人知らずの歌に「川と見ながら えこそ渡らね」というのがある。 "月日へにける" の 「経(ふ)」という言葉が使われている歌の一覧は 596番の歌のページを参照。
古今和歌集の中で 「弓」は 「梓弓」が六首で一番使われている数が多く、それ以外にはこの貫之の歌と次の 「採物の歌」にもう一つ 「真弓」の歌がある。 「弓」を使った歌の一覧は 20番の歌のページを参照。
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