Top  > 古今和歌集の部屋  > 本居宣長「遠鏡」篇  > 巻四 秋歌上

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169   
  秋きぬと  目にはさやかに  見えねども  風の音にぞ  おどろかれぬる
遠鏡
  秋ガキタトイフテ  ソレトハツキリト目ニハ見エヌケレド  ケフハ風ノ音ガ  ニハカニカハツタデサ  コレハ秋ガキタワトビツクリシタ

170   
  川風の  涼しくもあるか  うちよする  浪とともにや  秋は立つらむ
遠鏡
  川風ガサテモマア  涼イコトカナ  浪モ立ツト云フ也秋ノ来ルノモ立ツトイヘバ  此ノ岸ヘウチヨセル浪トイツシヨニ  秋ガタツタカシラヌ

171   
  我が背子が  衣の裾を  吹き返し  うらめづらしき  秋の初風
遠鏡
  コレハ/\メヅラシイ秋風ヂヤ  サテモ涼シイ  コヽロヨイ
余材に。わがせこは。女をさせりといへるは。いみじきひがことなり。これは女の歌なるべし。又歌林良材集に引れたるには。わぎもこがとあり。新古今集有家卿。「さらでだに恨みんと思ふわぎもこが衣のすそに秋風ぞふく。これらによれば。わぎもことある本も有しなるべし。

余材
  ...わかせこは女をさせり...

172   
  昨日こそ  早苗とりしか  いつの間に  稲葉そよぎて  秋風の吹く
遠鏡
  マダ昨日コソハ田ヲウヱタレ  ソレニマア  イツノマニ  此ノヤウニ稲ノ葉ガソヨ/\トシテ  秋風ノ吹クヤウニハナツタコトゾ

173   
  秋風の  吹きにし日より  久方の  天の河原に  立たぬ日はなし
遠鏡
  ワシハ秋風ノ吹キソメタ日カラ  毎日/\此ノヤウニコノ天ノ川ノ川原ヘ出テ立テ君ヲマタヌ日ハ一日モナイ
(千秋云。この歌などは。たなばたつめになりてよめる也。七夕の歌この類多し。)

174   
  久方の  天の河原の  渡し守  君渡りなば  かぢかくしてよ
遠鏡
  天ノ川ノ渡シ守リヨ  君ガコチラヘ御渡リナサツタナラ  ヂキニソノ船ノ棹ヲシレヌヤウニ  カクシテオイテクレイ  ソシタラ川ヲ渡ツテ御カヘリナサルコトガナルマイニヨツテ  イツマデモコチニ御逗留デアラウニ

175   
  天の河  紅葉を橋に  わたせばや  七夕つめの  秋をしも待つ
遠鏡
  天ノ川ノ橋ニ紅葉ヲ渡スユヱカシテ  時節モ多イニ  棚機サマガ  秋ヲ御待ナサル

176   
  恋ひ恋ひて  あふ夜は今宵  天の河  霧立ちわたり  明けずもあらなむ
遠鏡
  一年ノアヒダ長ノ月日ヲ恋々テ  タツタ一度彦星ト棚機ト御逢ナサル夜ハコヨヒヂヤ  ドウゾ天ノ川ヘ霧ガ一チメンニ立ツテ  闇ウナツテ  イツマデモ  夜ガアケネバヨイ

177   
  天の河  浅瀬しら浪  たどりつつ  渡りはてねば  明けぞしにける
遠鏡
  此天ノ川ノ浅瀬ノ所ヲシラヌ故ニ  オボツカナウテ  水ノナカヲアチヤコチヤトシテヒマドツテマタ渡ツテシマイモセヌウチニサ  ハヤ夜ガアケタワイ
(千秋云。四の句。ねばは。ぬにの意なり)

178   
  契りけむ  心ぞつらき  七夕の  年にひとたび  あふはあふかは
遠鏡
  一年ニタツタ一度ヅヽト  約束シテオイタ棚機ノ心ガキコエヌ一年ニタツタ一度グラヰアウノガアウノカ  ソレヤ逢ト云フモノデハナイ

179   
  年ごとに  あふとはすれど  七夕の  寝る夜の数ぞ  少なかりける
遠鏡
  棚機ハ毎年逢ツシヤリハスレドモ  一年ニタツタ一度ヅヽナレバ  逢ツシヤル夜ノ数ハサ  スクナイコトヂヤワイ

180   
  七夕に  かしつる糸の  うちはへて  年のを長く  恋ひや渡らむ
遠鏡
  タナバタ祭リニコヨヒ手向テオ借シ申シタ糸ノヤウニ長ウ引ノビテ  コレカラモ年久シウ此ノヤウニ恋シウ思フテ月日ヲタテルコトデアラウガ
是は七夕によめるおのが恋の歌也

181   
  今宵こむ  人にはあはじ  七夕の  久しきほどに  待ちもこそすれ
遠鏡
  今夜クル人ニハアウマイ  今夜ハ七夕ヂヤニヨツテ  棚機ノ久シイ一年ノ間タヲ待ツノニアヤカツテ  コチモ久シウ待ツヤウナ中ニナルコトモアラウホドニ

182   
  今はとて  別るる時は  天の河  渡らぬ先に  袖ぞひちぬる
遠鏡
  サアモウト云テ別レルトキニハ  マダ天ノ川ヲ渡リモセヌサキニ此ノヤウニ袖ガヒツタリト涙デサヌレタ

183   
  今日よりは  今こむ年の  昨日をぞ  いつしかとのみ  待ち渡るべき
遠鏡
  タナバタ様ハサゾ  今日カラシテハ  又今カラ来年ノ七月七日昨日ヲサ  イツカ/\トヒタスラ待テ月日ヲタテサツシヤルデアラウト思ハレル

184   
  木の間より  もりくる月の  影見れば  心づくしの  秋はきにけり
遠鏡
  木ノ枝ノ間カラモツテクル月ノ影ヲミレバ  広ウ見ルトハチガウテスコシヅヽホカ見エネバ  サテ/\シンキナ物ヂヤ  是ヲミレバ  今カラ総体モノゴト  シンキナ秋ガキタワイ
>> 「スコシヅヽホカ見エネバ」の「ホカ」の意味不明。

185   
  おほかたの  秋くるからに  我が身こそ  かなしきものと  思ひ知りぬれ
遠鏡
  世間一同ノ秋ガキタカラシテ  人ハコノヤウニハナイサウナニ  オレヒトリガサ  秋ハカナシイ物ヂヤト思ヒシツタ  秋ハオレ独ノ秋デハナイ世間一同ノ秋ヂヤニ

186   
  我がために  くる秋にしも  あらなくに  虫の音聞けば  まづぞかなしき
遠鏡
  オレニ悲シウ思ハサウタメニ来ル秋デモナイニ  虫ノ声ヲキケバ人ヨリサキヘ  マヅ一番ガケニサ  オレハカナシイ

187   
  ものごとに  秋ぞかなしき  もみぢつつ  うつろひゆくを  かぎりと思へば
遠鏡
  草木ノダン/\色ガカハツテ  散テイクノハ  草木ノシマイニナルノヂヤガ  オツヽケサウ物ノシマイニナル時節ノハシメヂヤト思ヘバ 総体ノ物ナニヽツケテモ秋ハサ悲シイ
打聞よろし余材わろし

余材
  もみちつゝは初秋に入れたる歌なれは梢とものやう/\色つくをいひてかくてうつろひ行を限と思へは物ことにわたりて秋そかなしきとなり下のもみちの歌にもみちはゝ今はかきりのとよめる歌になそらふへきやうなれとかれはたゝもみちの歌なれはこゝろことなり

打聴
  こは初秋なればもみぢの今染ぬ時なれど草木のおとろへはつる秋の其始なれば先云出て其もみぢのみならず物毎にかなしきと也

188   
  ひとり寝る  床は草葉に  あらねども  秋くる宵は  露けかりけり
遠鏡
  草ノ葉コソ秋ハ露デヌレルモノナレ  ワシガヒトリネル床ハ  クサノ葉デハナケレドモ  秋ニナレバ夜ルハ此ヤウニ涙デ露ノヤウニヌレルワイ

189   
  いつはとは  時はわかねど  秋の夜ぞ  物思ふことの  かぎりなりける
遠鏡
  イツハ物思ハヌトキヂヤト云フ時節ノ差別ハナシニイツデモ物思ヒハアルケレドソノウチニモ秋ノ夜ガサ  イツチ物思ヒスル頂上ヂヤワイ

190   
  かくばかり  惜しと思ふ夜を  いたづらに  寝て明かすらむ  人さへぞうき
遠鏡
  つぼは。御坪の内にて。梅壺藤壺などいふは。その御坪の内にある木草をもて。そこの舎の異名にしたる物也。かむなりのつぼも。雷の落ちたることわりしより。異名になれる也。壺の字は宮中衛謂之壺とあるこれ也。器の壺とは別なり。まがふことなかれ。
コレホドニ面白イ  アツタラ秋ノ月夜ヲ  寝テシマウテ  ムザムザト明ス人モ  アラウカサウシタ人マデガサ  キコエヌコトヂヤト思ハレル

余材いたづらの説わろし。いたづらにねてねていたづらにと心得べし

余材
  徒にぬるとはひとりぬるをいへり後撰にはいたつらいねともよめりおもふ人にあひてねてあかさんをはうしとはいふへからす或抄に秋はこよひはかりなるを名残なくいたつらにねてあかす人さへうきと秋をゝしむ人の思へることわりとあるは誤なりさる心ならは秋の末にいるへし秋の夜をしむといふはいつにても有へし今はまつ秋の中此の心なり...

191   
  白雲に  羽うちかはし  飛ぶ雁の  数さへ見ゆる  秋の夜の月
遠鏡
  サテモサヤカナ月カナ  雲ヘトヾクホド高イソラヲ  ツレダツテ  トンデユク雁ノ数マデガヨウ見エル
(千秋云。はねうちかはしは。いくつもつらなりて。雁と雁と羽をならべかはして飛わたるをいへり。しら雲とうちかはすにはあらず)

192   
  小夜中と  夜はふけぬらし  雁がねの  聞こゆる空に  月渡る見ゆ
遠鏡
  夜ハイカウフケタ  モウトント夜半ニナツタサウナ  見レバ雁ノ鳴声ノ聞ユル  ズツトソラノ方ヘ  モウ月ガマハツタ
>> 「夜半」に「ヨナカ」という振り仮名がついている。

193   
  月見れば  ちぢにものこそ  かなしけれ  我が身ひとつの  秋にはあらねど
遠鏡
  月ヲ見レバ  オレハイロ/\ト物ガサ  悲シイワイ  オレヒトリノ秋デハナケレド

194   
  久方の  月の桂も  秋はなほ  もみぢすればや  照りまさるらむ
遠鏡
  月ノ中ナ桂ハコノ国土ノ木ノヤウニ秋ヂヤト云テモ  紅葉スルナド云コトハアリソモナイモノヂヤニ  ソレモヤツハリ  秋ハモミヂスルカシテ  イツモヨリハ光リガテリマサツタ  紅葉シタニヨツテ此ヤウニ照リマサルデアラウ
打聞わろし

打聴
  万葉にもみぢする時になるらし月人の桂の枝の色づくみればとよめるも月の照るを月中の桂の色づくと云なせり今の本には秋は猶とあれど古本又忠岑集に秋くればとあるを用ういかにぞなればいにしへ猶てふ詞はまだと云意にのみ用ゐていよゝ其なとに用ゐしは無しこゝの猶は後の詞づかひ也秋くればと云詞今秋の来たる時にのみ云は後の心也秋さればといふも同意にてすべて秋になりてはとひろく云たるにて古歌は聞えたりもみぢすればやはもみぢすれば照増るらんやと云意をかくおきかふるは一の体也末に折らばやをらんと云もをらば折らんやと云也

195   
  秋の夜の  月の光し  あかければ  くらぶの山も  越えぬべらなり
遠鏡
  此ヤウニ月ノ光リノアカイ  秋ノ夜ハ  ナンボ闇イクラブ山デモ越ラレウト思ハレル

196   
  きりぎりす  いたくな鳴きそ  秋の夜の  長き思ひは  我ぞまされる
遠鏡
  コレ御亭主貴様ハ  心苦ガオホウテ  イロ/\ノコトヲ思フテ夜ノ長イヲ明シカテネルトイハシヤルガ  御亭主アノキリ/゛\スト同ジヨウニアマリ泣カシヤルナイ  心苦ガ多ウテ秋ノ夜ノ長イノガ  メイワクナコトハ貴様ヨリ  拙者ハサナホノコトヂヤワイ
余材打聞ともにわろし

余材
  ...行末かくる長き思ひは我こそ増りたれはおほつかなく思ひな侘そと人にいふ心をきり/\すの只今なくにそへてよめるか...

打聴
  是を或抄には秋の夜の長く明[アカ]しうき思ひは我こそまさりたれとよめるといへど人の家にゆきてあかしがたきよしあらば端に其由を書べきにしか見えぬは行末かけて長く親しまんてふ事を秋の夜によせてながき思ひといひさてきり/\すよいたくなわひそてふ意にて鳴そとはよめる成べし後撰にいせの海にはへてもあまるたく縄のながきこゝろは我ぞまされるとよめるに似たり

197   
  秋の夜の  明くるも知らず  鳴く虫は  我がごとものや  かなしかるらむ
遠鏡
  此長イ秋ノ夜ノアケルモシラズニアノヤウニナク虫ハオレガヤウニアレモ物ガ悲シイカシラヌ

198   
  秋萩も  色づきぬれば  きりぎりす  我が寝ぬごとや  夜はかなしき
遠鏡
  萩ノ葉モ色ヅイテソロ/\枯カケテクル時節ニナツタレバ物ガナシウテ夜ルモ  ネラレヌニ  アノキリギリスモ同ジヤウニ夜ル鳴クハ  ソチモオレガヤウニ物ガカナシイカ

199   
  秋の夜は  露こそことに  寒からし  草むらごとに  虫のわぶれば
遠鏡
  クサムラゴトニ  アノヤウニ虫ガ難儀ガツテ鳴クノヲキケバ  秋ノ夜ハ露ガサカクベツニ寒イサウナ

200   
  君しのぶ  草にやつるる  ふるさとは  松虫の音ぞ  かなしかりける
遠鏡
  人ガ見ステヽ  ヨリツカナイデドコモカモキツウアレテ軒ナドヘハシノブガハエテ見苦シウナツテ  其ノ人ヲ恋シタフテ居家デハ庭デナク松虫ノ声ガサ  人ヲ待ト云名ユヱカ  一入カナシウ聞エルワイ
打聞やつるゝの注わろし

打聴
  ...やつるゝは日本紀に襤褸の二字をよめりやれつらなれる衣より出たる詞也それかし何事にも古びあれたるやうの事には用ゐたり...

201   
  秋の野に  道も惑ひぬ  松虫の  声する方に  宿やからまし
遠鏡
  此秋ノ野デ  モウ日モクレニ及ブ道モフミマヨウタホドニ  アノ人ヲ待ツト云名ノ松虫ノ声ノスル方ヘイテ  宿ヲカツタモノデアラウカイ

202   
  秋の野に  人まつ虫の  声すなり  我かとゆきて  いざとぶらはむ
遠鏡
  此ノ秋ノ野ニアレ人ヲマツト云名ノ松虫ノコヱガスルワ  ソチヤオレヲマツノカト云テ  ドレヤ行テオミマヒ申サウ

203   
  もみぢ葉の  散りてつもれる  我が宿に  誰をまつ虫  ここら鳴くらむ
遠鏡
  モミヂガ散テツモツテ  誰モフミ分テ来タ人モナイ  コチノ庭デ  タレヲ待ツトテアノヤウニ松虫ハシキリニ鳴コトヤラ  タレモ来ル人ハアルマイニ
打聞よろし余材わろし

余材
  此落葉は秋暮て散にはあらす一葉つゝ散積れる也...

打聴
  木葉の道もなきまで散つもれる宿は人にとはれぬ家のさま也。さるに誰を待とてか頻に鳴らんと云て我をとふ人もなきをわびたる也もみぢ葉は紅出葉[モミツルハ]てふ詞也仍て萬葉には黄葉の二字にてももみちばとよめり紅葉々と書は一字あまりたりもみぢはもみづるてふ事ゆゑにもみづもみづるともよみてづもぢも共に出るの略也こゝは秋の暮の歌にあらぬにもみぢ葉の散て積れると云は松虫の歌にて末なればこゝに入たる也

204   
  ひぐらしの  鳴きつるなへに  日は暮れぬと  思ふは山の  かげにぞありける
遠鏡
  ヒグラシガ鳴イタニツレテ日ハクレタト思フタハ  サウデハナカツタ  山ノカゲデサ  闇イノデアツタワイ
(千秋云。なべには並[なべ]ににてこれとかれとならぶときにいふ言也つねに云々並に云々といふもこれにちかし)
>> 底本の歌の部分には「鳴きつるなに」と「濁」の印つきで書いてある。

205   
  ひぐらしの  鳴く山里の  夕暮れは  風よりほかに  とふ人もなし
遠鏡
  ヒグラシノナク此山里ハユフグレニハ風ヨリ外ニハ一向ニ尋ネテクル人モナイアヽサビシイコトヂヤ

206   
  待つ人に  あらぬものから  初雁の  今朝鳴く声の  めづらしきかな
遠鏡
  待人ガキタカナンゾノヤウニ  ケサ始メテ雁ノ鳴ク声ガサテモメヅラシウ思ハレルコトカナ  コチガ待テ居ル人デハナイヂヤケレド

207   
  秋風に  初雁がねぞ  聞こゆなる  たがたまづさを  かけてきつらむ
遠鏡
  秋風ノ吹ク空ニアレ始メテ雁ノ声ガサスル  雁ハ遠方カラノ状ヲクビヘ掛テ持テ来ルト云コトヂヤガ  アノ鳴雁ハドコカラタガ状ヲカケテキタコトヂヤヤラ

208   
  我が門に  いなおほせ鳥の  鳴くなへに  今朝吹く風に  雁はきにけり
遠鏡
  コチノカドデ稲負鳥ガナクニツレテ  ケサノ風ニ雁ガキタワイ
>> 204番の歌と同様、この歌も底本では「鳴くなに」となっている。

209   
  いとはやも  鳴きぬる雁か  白露の  色どる木ぎも  もみぢあへなくに
遠鏡
  キツウ早ウマア雁ハナイタコトカナ  露ノ色ドル木ドモモマダロクニモミヂモセヌウチニ

210   
  春霞  かすみていにし  雁がねは  今ぞ鳴くなる  秋霧の上に
遠鏡
  春霞ノ中ヘカスミニ見エテインダ雁ガ  ソノ時ノ霞ト同ジヤウニ秋ノ霧ノウヘノ方デ  アレ今サ又ナクワ

211   
  夜を寒み  衣かりがね  鳴くなへに  萩の下葉も  うつろひにけり
遠鏡
  夜ガ寒サニ衣ヲカルト云名ノ雁ノ鳴クニツレテ  萩ノ下葉モウツロウタワイ

212   
  秋風に  声を帆にあげて  くる舟は  天の門渡る  雁にぞありける
遠鏡
  アレ/\アノ青イ海ノヤウナソラヲ  秋風ニ声ヲ高ウ帆ノヤウニアゲテ  船ノヤウニ見エテ来ルモノハ  鳴テワタル雁ヂヤワイ

213   
  憂きことを  思ひつらねて  雁がねの  鳴きこそわたれ  秋の夜な夜な
遠鏡
  雁ノイクツモツラナツテ鳴テワタルヤウニ  オレハ秋ノ夜ノウイコトノ数々ヲオモヒツヾケテ毎夜/\泣テサアカスワイ

214   
  山里は  秋こそことに  わびしけれ  鹿の鳴く音に  目を覚ましつつ
遠鏡
  山里ハイツデモト云フウチニ  秋ガサ  別シテツラウナンギニ思ハレルワイ  ヨル/\鹿ノナク声デ目ヲサマシテハ  夜ハ長シ何ヤラカヤラト難儀ナコトヲ思ヒツヾケラレテサ

215   
  奥山に  もみぢ踏みわけ  鳴く鹿の  声聞く時ぞ  秋はかなしき
遠鏡
  秋ハ総体カナシイ時節ヂヤガ  其秋ノ内デハ又ドウイフ時ガイツチ悲シイゾトイヘバ  紅葉モモウ散テシマウタ奥山デ  ソノチツタモミヂヲ  鹿ガフミワケテアルイテ鳴ク声ヲキク時分ガサ  秋ノウチデハイツチ悲シイ時節ヂヤ
ふみわけは。鹿のふみ分るなり。

216   
  秋萩に  うらびれをれば  あしひきの  山下とよみ  鹿の鳴くらむ
遠鏡
  ノ葉モ段々枯テイクヲ見テ  時節ノ物カナシサニ  此ヤウニ  ウナシヲナゲテ  居ルノニ  ドウ云コトデアノヤウニ山ノ下マデヒヾクホド鹿ガ鳴コトヤラ  アノ鹿ノ声ヲキケバイヨ/\悲シウテドウモタヘラレヌニ
をればゝ。をるにの意なり。

217   
  秋萩を  しがらみふせて  鳴く鹿の  目には見えずて  音のさやけさ
遠鏡
  野ノ萩ノ中ヲフミアラシテ  オシフセテ  シガラミニシテ鳴テアルク鹿ノ目ニハ見エナイデ  アノマア声ノサヤカニヨウ聞ユルコトワイ
(千秋云。古へは鹿などの鳴こゑをも。おとゝもいへり。万葉に鶯のおとなどもよめり。)

218   
  秋萩の  花咲きにけり  高砂の  尾上の鹿は  今や鳴くらむ
遠鏡
  アレ萩ノ花ガサイタワイ  山ノ鹿ガモウナクデアラウガ

219   
  秋萩の  古枝に咲ける  花見れば  もとの心は  忘れざりけり
遠鏡
  萩ノ去年ノ古枝ヘアレアノトホリ又花ノサイタヲ見レバ草木デモマヘカタノ事ヲバ忘レハシマセヌワイ  スレヤソコモトモ  中絶ハ致シタケレド  先年御コンイニ致シタコトハ  オ忘レハナサルマイ

220   
  秋萩の  下葉色づく  今よりや  ひとりある人の  いねがてにする
遠鏡
  萩ノ下葉ガソロ/\枯カケテキタ  アヽ段々ト夜ハ長ウナラウシ  モウコレカラ又  オレガヤウナ独ズミノ者ハネラレヌデ  アラウカイ
(千秋云。此歌。ニの句にてきれたり。)

221   
  鳴き渡る  雁の涙や  落ちつらむ  物思ふ宿の  萩の上の露
遠鏡
  アレハテヽ悲シイコチノ庭ノアノ萩ノウヘヽ露ガキツウ  シゲウオイタガ  ソラヲワタル雁モ  オレガヤウニカナシイコトガアルカシテ  泣テイク  スレヤアノ雁ノナク涙ガオチタノカシラヌ  アノ萩ノ露ハ

222   
  萩の露  玉にぬかむと  とればけぬ  よし見む人は  枝ながら見よ
遠鏡
  萩ノ露ガキラ/\トシテアマリ見ゴトサニ  玉ニシテツナガウト思フテトツタレバヂキニ消タ  エイワ  ソンナラ見ヤウト思フ人ハトラズニヤハリ枝ニアルマヽデ見ヨサ

223   
  折りてみば  落ちぞしぬべき  秋萩の  枝もたわわに  置ける白露
遠鏡
  萩ノ花ノエダモヒワ/\トタワムホドオイタアノ露ガキツウ見事ナガ  アレヲ折テ見ヤウトシタナラ  サダメテ落テシマウデサアラウ

224   
  萩が花  散るらむ小野の  露霜に  濡れてをゆかむ  小夜はふくとも
遠鏡
  今夜妹ガトコロヘイカウト思フ野道ハ  萩ノ花ガ散テ  サゾ露モフカイデアラウガ  ヨイワヌレテイカウゾ  夜ガフケテ  露ハシゲクトモ
露霜といふはたゞ露のこと也。万葉に多し。皆しかり。
(千秋云。ぬれてをのは。助辞ながら。其事をつよくいへる詞也。)

225   
  秋の野に  置く白露は  玉なれや  つらぬきかくる  くもの糸すぢ
遠鏡
  秋ノ野ノ露ハ玉ヂヤカシテ  蛛ノ糸スヂヘツナイデカケタ

226   
  名にめでて  折れるばかりぞ  女郎花  我おちにきと  人にかたるな
遠鏡
  女郎花ト云名ガヨサニ  チヨツト馬カラオリテ見タバカリヂヤゾ  カナラズ  オレガ女ニオチタト人ニ云デハナイゾヨ
(千秋云。そのかみ然るべきほどの法師はつねに馬にのりてありきし也。ものにおほくみえたり。)
おれるとは。馬よりおりたるをいふ。をみなへしを折れるにはあらず。打聞わろし。

打聴
  下に花とみて折んとすれば女郎花うたてあるさまの名にこそありけれとよめる如く実に女の如しとみてさて是は其女と見て手折るにあらず名ある花にめでゝ折たるばかりぞ堕落せしなどゝ人にいふ事なかれと戯てよめる此僧正の手ぶり也(後)拾遺に法師の扇をおとして侍りけるを返すとて和泉式部はかなくもわすられにける扇かな落たりけりと人もこそ見れ是も堕落を兼ていへり

227   
  女郎花  憂しと見つつぞ  ゆきすぐる  男山にし  立てりと思へば
遠鏡
  アノ女郎花ヲバアヽイタヅラナ女ヂヤト思フテオレハヨソニ見テサ通リ過テイク  コヽハ男山ナレバ  男ノ中ニマジツテ  居ル女ヂヤト思フニヨツテサ

228   
  秋の野に  宿りはすべし  女郎花  名をむつまじみ  旅ならなくに
遠鏡
  トマルナラ秋ノ野ニトマルガヨイ  女郎花ガアツテ女ト云名ガムツマシサニヨツテ寝ルヤウデハナイワサテ
ニの句のもじ。心をつくすべし。余材打聞ともにときえずわろし。
(千秋云。心遠き所にはあらでも。常の家をはなれて。他所にて寝るを。旅寝と云こと常也。)

余材
  旅にはあらねとも女郎花の名をむつましみ秋の野に一夜のやとりはすへしとなり

打聴
  女郎花といふ名をむつまじく思ひて宿りはすべし我は旅ならぬにと也万葉に赤人の野をなつかしみ一夜寝にけりと云類也

229   
  女郎花  おほかる野辺に  宿りせば  あやなくあだの  名をやたちなむ
遠鏡
  女郎花ノ多クアル野ニトマツタナラ  ワケノナイコトニ  アダナ名ガタヽウカシラヌ  女郎ト云ハ名バカリデコソアレホンノ女デモナイニ

230   
  女郎花  秋の野風に  うちなびき  心ひとつを  誰によすらむ
遠鏡
  ヲミナメシガ  秋ノ野ノ風ニナビクガ  タレニ心ヲヨセテ  アノヤウニナビクヤラ
心ひとつといふは。たゞ心といふこと也。

231   
  秋ならで  あふことかたき  女郎花  天の河原に  おひぬものゆゑ
遠鏡
  天ノ川コソタナバタノ秋デナウテハアハヌ所ナレ  アノ女郎花ハアマノ川ノカハラニハエテアルデモナイニ  秋デナウテハアフコトガナリガタイ女ヂヤ

232   
  たが秋に  あらぬものゆゑ  女郎花  なぞ色にいでて  まだきうつろふ
遠鏡
  誰ガ飽タトイフ秋デモナイニ  女郎花ハドウシタコトゾ  アノヤウニ色ニデテ恨ンデ  マダ早イニウツロウノハ

233   
  つま恋ふる  鹿ぞ鳴くなる  女郎花  おのがすむ野の  花と知らずや
遠鏡
  アレ妻ヲコヒシタウ鹿ガサアレナクワ  鈍ナヤツヂヤ  女郎花ヲ己ガカヨウ野ノ花ヂヤトハ知ラヌカイ  女郎花トイヘバ女ヂヤニ  ナゼアハヌゾイ

234   
  女郎花  吹きすぎてくる  秋風は  目には見えねど  香こそしるけれ
遠鏡
  女郎花ヲ吹テトホツテクル風ハ  目ニハソレト見エヌケレド  テウド女ニ逢テキタ男ノ  ウツリガノスルヤウデ  女郎花ヲ吹テキタト云コトガ  香デサヨウシレルワイ

235   
  人の見る  ことやくるしき  女郎花  秋霧にのみ  立ち隠るらむ
遠鏡
  女郎花ハ  女ノ人ヲハヅカシガツテカクレルヤウニ  霧ニカクレテバツカリアルガ  ドウ云コトデアノヤウニ霧ニカクレルヤラ  アレモ人ノ見ルノガメイワクナカイ
>> 「女ノ人ヲ」は「女の人を」ではなく「女が人を」ということ。

236   
  ひとりのみ  ながむるよりは  女郎花  我が住む宿に  植ゑて見ましを
遠鏡
  女郎花ヨ  此ノ野原ニコノヤウニ露ニシヲレテ  ヒトリシホ/\トシテバツカリ居ヤウヨリハ  オレガ宿ヘウツシテ植テ見ハヤシテヤラウモノヲ
余材にしたがふべし。打聞わろし。
(千秋云。ひとりとは一もとにてあるよしにはあらず女の男にそはずしてひとりあるよしにいへる也)

余材
  独のみなかむるとは女郎花の野へに物思ひたるさまにてたてるを例の女によそへて人めなき野にひとりなかめてあらんよりはあれたるわかやとなからうつしうゑてあひすまゝし物をとなり奥義抄云是はたゝひとりわかなかめゐたるよりもをみなへしをそやとにうゑてみるへかりけるとよめりと有是は我住宿にといへるによくかなはす独のみなかむるよりはといふか我上の事ならはをみなへしのある野にゆきてすまんとかねんとかいふへしよく吟味すへし...

打聴
  我独のみ物淋しくながめてをらんよりは野べに生る女郎花を宿に植て相すまゝし物をといへり或人は後撰に我宿に植てだにみん女郎花人はしたなる秋の野よりはと云によりて女郎花の野に有てよりはと云説もあれど末の句植て見ましをと云にかなはず是は類なる歌になづみていへる也

237   
  女郎花  うしろめたくも  見ゆるかな  荒れたる宿に  ひとり立てれば
遠鏡
  アノ女郎花ハ  此アレタヤドニ  見レバ人モツカズニ  タツタ一人居レバ  サテモマアキヅカイナ物カナ

238   
  花にあかで  何かへるらむ  女郎花  おほかる野辺に  寝なましものを
遠鏡
  見コトナ色々ノ花ヲ  ハライツハイ  ヱ見ズニ  ナゼニ此ノヤウニカヘルコトヤラ  女郎花ノ多クアル野デ  コヨヒハネヤウデアツタモノヲ  女ト云フ名ナレバヨイトマリ所ヂヤニ

239   
  なに人か  来て脱ぎかけし  藤ばかま  来る秋ごとに  野辺を匂はす
遠鏡
  此フヂバカマハ  マヘカタ  何人ノ着テヌギカケテオイタ袴ゾ  毎年/\秋ニナレバ此ノ野ヘンヲニホハス  今マニ此ノヤウニニホウハ  ナンデモコレハナミタイテイノ人ノ袴デハアルマイ  ヨク/\レキ/\ノ人ノ袴デ  香ガヨウシメテアルユヱデアラウ

240   
  宿りせし  人の形見か  藤ばかま  忘られがたき  香に匂ひつつ
遠鏡
  此ノ藤袴ハ  イツゾヤ此ノ方デオトマリナサレタ貴様ノ形見ニオイテ御帰リナサツタ袴デゴザルガ  今マニワスレガタイ香ガニホフデサ  貴様ノコトヲオナツカシウ存ズル

241   
  主知らぬ  香こそ匂へれ  秋の野に  たが脱ぎかけし  藤ばかまぞも
遠鏡
  此フヂバカマハ  此秋ノ野ヘタレガヌイデ掛テオイタ  袴ゾマア主ノシレヌ香ガサ  ニホウテアル

242   
  今よりは  植ゑてだに見じ  花薄  穂にいづる秋は  わびしかりけり
遠鏡
  スヽキハドコニモタクサンニアル物ヂヤガ  ソレヤドウモセウコトガナイヂヤガ  今カラセメテハコチノ庭ニナリトモ植テハ見ヌヤウニセウゾ  アノヤウニ薄ノ穂ガデヽ  秋ノケシキガ見エレバキツウ物ガナシウテナンギナワイ
だには。なりともの意なり。余材だにの意。なほとき得ず。

余材
  ...顕注にうゑてたにみしといふ詞を心えすと申す人ありたにといふ詞はふるくみなよめり後撰に
  わすれ草名をもゆゝしきかりにても おふてふ宿に行てたにみし
  返し
  うきことのしけき宿には忘れ草 うゑてたにみし秋そゆゝしき
此集に
  吹風を鳴て恨よ鶯は われやは花に手たにふれたる
行てたにみしは行てみしなりうゑてたにみしはうゑてみし也手たにふれたるは手ふれたるなり然は今の歌も今よりはうゑてみしとよめるなり密勘云たにといふ詞勿論事か今いはくかくあれともこれはいまたことわり尽す侍る也およそ常にたにといふ詞はさへといふにかよひ又それをなりともといふ心をそれたにといへるやうの事おほし今此うゑてたにみしといふは俗語ならはうゑてはしみしといふにかよひてきこゆ...

243   
  秋の野の  草の袂か  花薄  穂にいでてまねく  袖と見ゆらむ
遠鏡
  スヽキノホノ風デナビクハ  テウド人ガ色ニデヽ  恋シイ人ヲマネク袖ノヤウニ見エルガ  スヽキノ穂ハ  秋ノ野ノ総体ノ草ノ袖カシラヌ
此の歌にて袂と袖とはたゞ詞をかへたるのみにて同じ意也
(千秋云。かやうに留りたるらんの格。この訳にて心得べし。)

244   
  我のみや  あはれと思はむ  きりぎりす  鳴く夕影の  大和撫子
遠鏡
  キリ/゛\スガ鳴テオモシロイユフカゲニ見事ニ咲テアルアノ撫子ト云児ヲ  母親ヤ乳母ナドモ打ソロウテトモ/゛\ニテウアイスルヤウニ  タレニモカレニモ見セテ賞翫サセタイモノヂヤニ  タツタ一人ノ手デソダテル児ノヤウニ  オレバツカリガ  アヽヨイ児ヤト云テ  独リ見ハヤサウコトカヤ  アツタラ此ノ花ヲ
余材後の説ちかし。打聞わろし。

余材
  ...われのみやあはれと思はんとは誰かは哀と思はさらんとなりあはれは憐也萬葉に
  かけ草のおひたるやとの夕かけに 鳴きり/\すきけとあかぬかも
又友もなき宿にて我のみやあはれとおもはむと惜む心も有へし...

打聴
  蛬[キリギリス]の鳴て夕日ににほへるなでしこのえもいはずおもしろきけしきを我独かは誰も可怜[アハレ]と思はんと也新撰万葉に秋の野のちくさのにほひ我のみは見れどかひなし独おもへばやまとなでしこは野に有紅梅色の花也是は此国にいにしへより生れは云今生し立る色々の花咲は唐なでしこ也それにむかへてやまとゝ云是も古言にはあらず

245   
  緑なる  ひとつ草とぞ  春は見し  秋は色いろの  花にぞありける
遠鏡
  春見タ時ニハ  タヾ皆同ジ青イ一ツノ草ヂヤトバツカリ思フタガ  サウデハナイ  秋ニナツテ今マ見レバ  コレ此ノヤウニイロ/\ノサ見ゴトナ花ヂヤワイ

246   
  ももくさの  花のひもとく  秋の野に  思ひたはれむ  人なとがめそ
遠鏡
  ソウタイ花ノ開クヲ紐トクト云ヂヤガ  此ノヤウニイロ/\サマ/゛\ノ草ノ花ノ帯紐トイテミダレテアル面白イ秋ノ野デ  ドレヤコチモアノ花ヲ賞翫シテトモ/゛\ニミダレテ  アハウヲツクサウ  人ガ見タナラ  アレハマア何事ヂヤトフシンニ思フデアラウガ  ユルセユルセ

247   
  月草に  衣はすらむ  朝露に  濡れてののちは  うつろひぬとも
遠鏡
  キルモノヲバ月草ノ花デスラウ  エイ色ナ物ヂヤ  シタガ外ヘ色ノウツリヤスイ物ヂヤニヨツテ  朝ノツユニヌレタラ  色ガ外ノモノヘウツヽテシマハウモシレヌガ  エイワサ  後チエハ  ウツヽタト云テモ

248   
  里は荒れて  人はふりにし  宿なれや  庭もまがきも  秋の野らなる
遠鏡
  此ノヤドノ義ハ  里ハアレマシタ里也  住デヲリマスル者ハ老人也  致シマスレバ諸事不都合ナ宿ユヱカ致シマシテ  庭モマガキモ御覧下サレマストホリ  トントハヤ秋ノ野原デゴザリマス
上句の二つのもじ。心をつくべし。

( 2004/02/23 )   
 
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