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       これさだのみこの家の歌合せのうた 読人知らず  
189   
   いつはとは  時はわかねど  秋の夜ぞ  物思ふことの  かぎりなりける
          
     
  • わかねど ・・・ 区別しないけれど
  • かぎり ・・・ 限界、極み
  「これさだのみこの家の歌合せ」は、宇多天皇の兄の是貞親王の家で行なわれた歌合で、その時期は 892年の秋ではないかと言われている。古今和歌集にこの歌合の詞書を持つ歌は二十三首ある。ただし現存する 「是貞親王家歌合」の中にはそのうち半数以上が見当たらず、この歌もその一つである。

  歌の意味は、
何時だろうと変わることはないが、ただ秋の夜はその中でも特別に、物思いにふけることが頂点に達するようだ、ということ。 "時はわかねど  秋の夜ぞ" とは、少し荒い表現で、わざと 「区別はしないけれど−区別する」と言葉を近づけて角を立たせているような感じがある。

  「かぎり」という言葉を使った歌の一覧は 187番の歌のページを参照。

 
( 2001/11/23 )   
(改 2004/01/27 )   
 
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