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       題しらず 読人知らず  
185   
   おほかたの  秋くるからに  我が身こそ  かなしきものと  思ひ知りぬれ
          
     
  • おほかたの ・・・ 大体の (大方の)
  • 秋くるからに ・・・ 秋がくるとすぐに
  
あたりに秋の気配が立ち始めると、たちまち我が身の哀しさが思い知らされる、という歌。

  "おほかた" という言葉は意味がとりづらいが、はっきりと秋だとわかる状態ではない、ということを指していると考えられる。 「おほかた」という言葉を使った歌の一覧は 879番の歌のページを参照。また、ざっと読むと 「からに」は理由を述べているように見えるが、249番の「吹くからに 秋の草木の しをるれば」などと同じで、「〜するとたちまち」という順序を表す言葉である。 「からに」という言葉を使った歌の一覧は、その 249番の歌のページを参照。

  秋が来てその 「かなしみ」を真っ先に知るものは、他の誰でもなく、この自分だ、というこの歌の 「こそ」に込められている気持ちは、次の読人知らずの歌の 「まづ」と同じであると思われる。

 
186   
   我がために  くる秋にしも  あらなくに  虫の音聞けば  まづ ぞかなしき
     
        また、「思ひ知る」というのは、そのままでも意味がわかるが、「しっかりと納得して理解する」というような感じである。古今和歌集の中で使われている例をあげると次の通り。

 
     
185番    かなしきものと  思ひ知りぬれ  読人知らず
310番    秋はかぎりと  思ひ知りぬる  藤原興風
435番    思ひ知らずも  惑ふてふかな  僧正遍照
808番    思ひ知らずも  とくる紐かな  因幡


 
        この歌から三つ 「かなし」という言葉を使った歌が続くが、「かなし」を使った歌の一覧については、578番の歌のページを参照。

 
( 2001/07/05 )   
(改 2004/03/08 )   
 
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