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       題しらず 読人知らず  
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   緑なる  ひとつ草とぞ  春は見し  秋は色いろの  花にぞありける
          
        春は緑一色の草と見ていたものが、秋になると実は色々な花をつけるものだということがわかった、という歌。春は若菜つみが目的できた野辺も、秋となった今では風景が変わっている、ということを詠っているように見える。

  シンプルな詠み振りであるが、[ 草(とぞ)  [ 春−秋 ]  花(にぞ) ]という配置の中に 「ひとつ(単数)−色々(複数)」をかぶせており、よく練られた歌であるとも言える。その意味で、この歌のポイントは、 "ひとつ草" という表現であると言える。

  「〜にぞありける」という表現を使った歌の一覧は 204番の歌のページを参照。

 
( 2001/11/13 )   
(改 2004/01/20 )   
 
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