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       藤ばかまをよめる 素性法師  
241   
   主知らぬ  香こそ匂へれ  秋の野に  たが脱ぎかけし  藤ばかまぞも
          
     
  • たが ・・・ 誰が
  
誰のものともわからない香りが匂う、秋の野に、誰が脱いでかけたフジバカマなのか、という歌。「袴」という言葉から、33番の読人知らずの「たが袖ふれし 宿の梅ぞも」に合わせて、 "たが脱ぎかけし" と詠ったもののように見える。秋歌上のフジバカマの三つの歌群の最後に置かれていて、前の二つは次の通り。フジバカマは香りは良いが花の姿が地味なため、どうしてもそのハカマという名に引っ張られてしまうようである。

 
239   
   なに人か  来て脱ぎかけし  藤ばかま   来る秋ごとに  野辺を匂はす
     
240   
   宿りせし  人の形見か  藤ばかま   忘られがたき  香に匂ひつつ
     
        また誹諧歌にも次のような在原棟梁(むねやな)の歌がある。

 
1020   
   秋風に  ほころびぬらし  藤ばかま   つづりさせてふ  きりぎりす鳴く
     
        「匂ふ」という言葉を使った歌の一覧は 15番の歌のページを、「かく」については 483番の歌のページを、「ぞも」については 1007番の歌のページを参照。

 
( 2001/11/08 )   
(改 2004/03/12 )   
 
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