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       月をよめる 在原元方  
195   
   秋の夜の  月の光し  あかければ  くらぶの山も  越えぬべらなり
          
     
  • あかければ ・・・ 明るいので
  
秋の夜の月の光が明るいので、暗いという名の 「くらぶ山」も越えられるに違いない、という歌。 
"月の光し" という言葉を使った歌には冬歌に次の読人知らずの歌があって印象が深い。

 
316   
   大空の  月の光し    清ければ   影見し水ぞ  まづこほりける
     
        それに対し、暗いという名の 「くらぶの山」も越えられそうだ、というこの元方の歌も目立つ歌ではないが、シンプルでほのぼのとした良さがあり、詞書の 「月をよめる」というのも、とぼけていて面白い。歌の内容としてはあまりにも平凡だが、自然体過ぎて文句のつけようがない。詠まれた年代の前後は不明だが、上記の冬歌のパロディとして見てみたい。

  その他の 「くらぶ山」を使った歌については 39番の歌のページを、「べらなり」を使った歌については 23番の歌のページを参照。

 
( 2001/08/30 )   
(改 2004/01/02 )   
 
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