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       題しらず 読人知らず  
204   
   ひぐらしの  鳴きつるなへに  日は暮れぬと  思ふは山の  かげにぞありける
          
     
  • なへに ・・・ 〜するにつれて
  
あたりが薄暗くなって、そこにひぐらしの声が加わると、さすがに秋の日は短く、もう夕暮れになったのかと思うけれど、実際は伸びてきた山の影だった、という歌。

  夕暮れではなかったが、それだけ早く影が覆うということは、やはり秋の日が短くなってきたのだな、という感じにも見える。また、主観的に言えば 「ひぐらし、お前も惑わされたのか」と言うところだが、「ひぐらし−日暮し」という駄洒落を匂わせることで、蝉を情景の一部にとけこませている。どこか旅人を描いた屏風絵につけた歌のようにも感じられる。 「ひぐらし」を詠った歌の一覧は 771番の歌のページを参照。

  前半と後半のつなぎの部分を、「日は暮れぬと/思ふは山の」「日は暮れぬ/と思ふは山の」「日は暮れぬと思ふは/山の」のように区切り位置を変えて読んでみると、微妙に感じが変わって面白いかもしれない。

  「〜にぞありける」という表現を使った歌の一覧は次の通り。

 
     
204番    思ふは山の  かげにぞありける  読人知らず
212番    天の門渡る  雁にぞありける  藤原菅根
245番    秋は色いろの  花にぞありける  読人知らず
414番    白山の名は  雪にぞありける  凡河内躬恒
778番    松は苦しき  ものにぞありける  読人知らず
795番    うつろひやすき  色にぞありける  読人知らず
797番    人の心の  花にぞありける  小野小町
818番    忘るることの  数にぞありける  読人知らず
849番    君に別れし  時にぞありける  紀貫之
864番    たたまく惜しき  ものにぞありける  読人知らず
866番    時しもわかぬ  ものにぞありける  読人知らず
918番    名には隠れぬ  ものにぞありける  紀貫之
929番    世をへて落つる  水にぞありける  凡河内躬恒
990番    瀬にかはりゆく  ものにぞありける  伊勢
1065番    心は消えぬ  ものにぞありける  大江千里


 
        「なへに」という言葉を使った歌の一覧は 211番の歌のページを参照。

 
( 2001/10/10 )   
(改 2004/03/10 )   
 
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