Top  > 古今和歌集の部屋  > 巻二

       春宮のたちはきの陣にてさくらの花の散るをよめる 藤原好風  
85   
   春風は  花のあたりを  よぎて吹け  心づからや  うつろふと見む
          
     
  • 心づから ・・・ 自分の心から
  藤原好風はは生没年不詳。911年従五位下。古今和歌集に採られているのはこの一首のみ。詞書にある「春宮のたちはきの陣」とは春宮坊の帯刀舎人の詰所。

  歌の意味は、
春風は花の近くはよけて吹け、花が自ら散るのかどうか見てみたい、ということ。好風が春風に言っているのが面白いといえば面白い。 「春風」と 「秋風」を詠った歌を一覧にしてみると次の通り。 「山風」については 394番の歌のページを、 「風吹く」という言葉を使った歌の一覧は 671番の歌のページを、 「吹く風」という言葉を使った歌の一覧は 99番の歌のページを参照。

 
        [春風]  
     
85番    春風  花のあたりを よぎて吹け  藤原好風
91番    香をだにぬすめ  春の山風  良岑宗貞


 
        [秋風]  
     
172番    稲葉そよぎて  秋風の吹く  読人知らず
173番    秋風  吹きにし日より 久方の  読人知らず
207番    秋風  初雁がねぞ 聞こゆなる  紀友則
212番    秋風  声を帆にあげて くる舟は  藤原菅根
230番    女郎花  秋の野風に うちなびき  藤原時平
234番    女郎花  吹きすぎてくる 秋風  凡河内躬恒
256番    秋風  吹きにし日より 音羽山  紀貫之
272番    秋風  吹き上げに立てる 白菊は  菅原朝臣
286番    秋風  あへず散りぬる もみぢ葉の  読人知らず
360番    住の江の  松を秋風 吹くからに  凡河内躬恒
555番    秋風  身に寒ければ つれもなき  素性法師
586番    秋風  かきなす琴の 声にさへ  壬生忠岑
714番    秋風  山の木の葉の うつろへば  素性法師
725番    秋風  なびくあさぢの 色ことになる  読人知らず
777番    来ぬ人を  待つ夕暮れの 秋風  読人知らず
787番    秋風  身をわけてしも 吹かなくに  紀友則
821番    秋風  吹きと吹きぬる 武蔵野は  読人知らず
822番    秋風  あふたのみこそ かなしけれ  小野小町
823番    秋風  吹き裏返す くずの葉の  平貞文
1020番    秋風  ほころびぬらし 藤ばかま  在原棟梁


 
        歌の内容としては、99番の読人知らずの歌とほとんど同じだが、二つを比べるとこの好風の方が「春風」「花」という言葉があるため艶っぽく感じる。また、歌の雰囲気としては、76番の素性法師の「花散らす  風の宿りは  誰か知る」という歌に近いものがある。

  「うつろふ」という言葉を使った歌の一覧については 
45番の歌のページを参照。

 
( 2001/12/06 )   
(改 2004/03/11 )   
 
前歌    戻る    次歌