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       題しらず 読人知らず  
99   
   吹く風に  あつらへつくる  ものならば  このひともとは  よぎよと言はまし
          
     
  • あつらへつくる ・・・ 頼んで思うようにさせる (誂へ付く)
  • ひともと ・・・ 一本
  
吹く風に注文をつけることができるならば、この一本の木は避けて吹いてくれ、という歌。 "ひともと" は一本(いっぽん)の枝ということではなく、一つの木ということ。

   85番の「春風は 花のあたりを よぎて吹け」という藤原好風の歌と似ているが、こちらは歌の中に 「花」という言葉がなく、モノトーンに近い雰囲気である。

  古今和歌集の配列からすれば、この歌は、「もう他は皆、散ってしまっていて、ここだけに花が残っている。それもかなり散ってしまっていて、残りわずか」という状況と見ることができる。まるでその木に春の最後の頼みをかけているような感じにも見える。

  ちなみに 「吹く風」という言葉を使った歌には次のようなものがある。 「風吹く」という言葉を使った歌の一覧については 671番の歌のページを参照。また、「春風/秋風」については 85番の歌のページを、「山風」については 394番の歌のページを参照。

 
     
99番    吹く風に  あつらへつくる ものならば  読人知らず
106番    吹く風を  鳴きてうらみよ うぐひすは  読人知らず
118番    吹く風と  谷の水とし なかりせば  紀貫之
124番    吹く風に  底の影さへ うつろひにけり  紀貫之
208番    今朝吹く風に  雁はきにけり  読人知らず
251番    吹く風の  音にや秋を 聞き渡るらむ  紀淑望
290番    吹く風の  色のちぐさに 見えつるは  読人知らず
475番    吹く風の  目に見ぬ人も 恋しかりけり  紀貫之
762番    吹く風の  音にも人の 聞こえざるらむ  読人知らず
919番    吹く風に  寄せてかへらぬ 浪かとぞ見る  紀貫之
1098番    吹く風を  人にもがもや ことづてやらむ  読人知らず


 
        "よぎよと言はまし"の 「まし」は反実仮想の助動詞で、その 「まし」が使われている歌の一覧は 
46番の歌のページを参照。

 
( 2001/12/06 )   
(改 2004/03/11 )   
 
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