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       題しらず 素性法師  
714   
   秋風に  山の木の葉の  うつろへば  人の心も  いかがとぞ思ふ
          
        秋の風に山の木の葉の色が変わり散ってゆくのを見ると、人の心もどうなのかと思ってしまいます、という歌。 "秋" に「飽き」を、"木の葉" に 「言の葉」を添わせて、「最近言葉に誠意が感じられない」ということを言っているようにも思える。 781番の雲林院親王(=常康親王)の「うつりもゆくか 
人の心の」という歌のせつなさに比べると語調に柔らかさが感じられる。素性が女性の立場で詠った歌であろう。

  恋歌ではないが、「秋風にその色の変わった後の木の葉(=もみぢ葉)が散る」ということを詠ったものに次の読人知らずの歌がある。 「秋風」を詠った歌の一覧は 85番の歌のページを参照。

 
286   
   秋風に   あへず 散りぬる   もみぢ葉の  ゆくへさだめぬ  我ぞかなしき
     
        「うつろふ」という言葉を使った歌については 45番の歌のページに一覧してあるが、次の小野小町と読人知らずの二つの 「人の心−花」の歌が並べて置かれているのは、「うつろふ」と 「散る」の関係ということから見ると興味深いものがある。

 
797   
   色見えで  うつろふものは   世の中の  人の心の   花にぞありける
     
798   
   我のみや  世をうぐひすと  なきわびむ  人の心の   花と 散りなば  
     
        「人の心」という言葉を使った歌の一覧については 651番の歌のページを参照。

 
( 2001/11/15 )   
(改 2004/03/11 )   
 
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