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       題しらず 読人知らず  
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   秋と言へば  よそにぞ聞きし  あだ人の  我をふるせる  名にこそありけれ
          
     
  • あだ人 ・・・ 浮気な人 (徒人)
  • ふるせる ・・・ 古いものとして見捨てる (古す)
  
「秋」という言葉は、自分とは関係ないものと思っていたが、浮気なあなたが私を 「飽き」て見捨てるということにぴったりの名前だったのですね、という歌。

  「〜と言へば」という表現を使った歌の一覧は 635番の歌のページを、 「よそ」という言葉を使った歌の一覧は 37番の歌のページを参照。 また、 "あだ人" という言葉からは、722番の素性法師の「浅き瀬にこそ あだ浪はたて」という歌が連想される。 「あだ」という言葉を使った歌の一覧は 62番の歌のページを参照。

  "我をふるせる名" の 「ふるせる」は、「ふるせ+る」で、「ふるせ」は 「古す」の命令形、「る」は完了の助動詞「り」の連体形。 525番の歌の 「くらせる宵」、 612番の歌の 「あはですぐせる年」などと同じである。 「古す」を使った歌の一覧については 248番の歌のページを参照。 「名にこそありけれ」と結ばれる歌の一覧については 382番の歌のページを参照。

  「秋は飽きである」というシンプルな歌だが、信じていなかった占いの予言が当たってしまった、というような感じにも見え、その意味では、内容は異なるが 700番の「心のうらぞ まさしかりける」という読人知らずの歌が思い出される。

 
( 2001/12/03 )   
(改 2004/02/25 )   
 
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