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       題しらず 読人知らず  
891   
   笹の葉に  降りつむ雪の  うれを重み  もとくだちゆく  我がさかりはも
          
     
  • うれ ・・・ 葉の先の方
  • もと ・・・ 本体
  • くだちゆく ・・・ 傾いてゆく (降ちゆく)
  
笹の葉に降り積もる雪が先の方が重いので、本体が傾くように、徐々に年月の重さで下降気味になる自分の盛りの時期であることか、という歌。ただいるだけでも重力で気力/体力が落ちてゆくような気分を詠ったものであろう。この歌と同じ 「笹の葉」と 「〜を〜み」という表現を使った歌に次の躬恒の歌がある。 「〜を〜み」という表現のある歌の一覧は 497番の歌のページを参照。

 
663   
   笹の葉に   置く初霜の  夜を寒み   しみはつくとも  色にいでめや
     
        「〜を〜み」から 「を」を取ったかたちとしては、次の 「とりものの歌」などがある。この「名詞+形容詞の語幹+み」のかたちを持った歌の一覧については 50番の歌のページを参照。

 
1079   
   我が門の  いたゐの清水  里遠み   人しくまねば  み草おひにけり
     
        また、この歌の "我がさかりはも" で使われている詠嘆を表す 「〜はも」が使われている他の例としては、 478番の忠岑の歌の「草のはつかに 見えし君はも」、 1072番の「みづくきぶり」の歌の「寝ての朝けの 霜の降りはも」というものがある。また、この歌は古い形をしているので、"うれを重み" の 「う」に 「憂」が掛けられているかどうかは微妙であるが、気分的には 1027番の誹諧歌にある 「うれはしきこと」という感じではあるだろう。

 
( 2001/09/18 )   
(改 2004/02/22 )   
 
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