Top  > 古今和歌集の部屋  > 巻二十

       とりもののうた 読人知らず  
1079   
   我が門の  いたゐの清水  里遠み  人しくまねば  み草おひにけり
          
     
  • いたゐ ・・・ 板で囲った井戸 (板井)
  • み草 ・・・ 水草
  
里から離れたこの家の門のところにある板で囲った井戸の清水は、人が汲まないので水草が生えています、という歌。言葉としては歌の中に出てこないが、これは「杓」(ひさご)を手にとって神を招く 「採物」の歌である。 「採物」については 1074番の歌のページを参照。 「杓」は本々、ヒョウタンをくり抜いて器とし水を汲む道具。

  汲む人のほとんどいない井戸/それがある人里離れた家/そこに住む人、という情景が、 "いたゐ" という人工物と清水+水草のイメージで表わされている。 "里遠み" と同じ 「名詞+形容詞の語幹+み」というかたちを持つ歌の一覧は 50番の歌のページを参照。他に 「清水を汲む」という歌としては、雑歌上に次の読人知らずの歌がある。

 
887   
   いにしへの  野中の 清水   ぬるけれど  もとの心を  知る人ぞ くむ  
     
        「清水」を詠った歌の一覧は 537番の歌のページを参照。

 
( 2001/11/08 )   
(改 2004/03/09 )   
 
前歌    戻る    次歌