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       題しらず 読人知らず  
647   
   むばたまの  闇のうつつは  さだかなる  夢にいくらも  まさらざりけり
          
     
  • むばたまの ・・・ 闇の枕詞
  
真っ暗な闇の中での現実は、はっきりとした夢と比べると、少しも優ったところがない、という歌。まるで直前に置かれた 645番と 646番の歌に付けられたナレーションのようでもある。

  また、この歌は「うつつにだにも あかぬ心を」という 449番の清原深養父の 「かはなぐさ」の物名の歌を思い出させ、古今和歌集の中の歌で 「うつつ」という言葉が使われている歌を見てみると、以下のようにすべて 「夢」とセットになっているのが面白い。

 
     
449番    になにかは なぐさまむ うつつにだにも あかぬ心を  清原深養父
558番    のただぢは うつつならなむ  藤原敏行
641番    郭公 うつつか 朝露の  読人知らず
645番    うつつか 寝てかさめてか  読人知らず
646番    夢うつつとは 世人さだめよ  在原業平
647番    闇のうつつは さだかなる にいくらも まさらざりけり  読人知らず
656番    うつつには さもこそあらめ にさへ  小野小町
658番    ぢには 足も休めず かよへども うつつにひと目  小野小町
834番    とこそ 言ふべかりけれ 世の中に うつつあるものと  紀貫之
835番    と言はむ はかなき世をも うつつとは見ず  壬生忠岑
942番    うつつか うつつとも とも知らず  読人知らず


 
        「闇」という言葉を使った歌の一覧は 39番の歌のページを参照。

 
( 2001/11/29 )   
(改 2004/03/09 )   
 
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