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       題しらず 小野小町  
656   
   うつつには  さもこそあらめ  夢にさへ  人目をもると  見るがわびしさ
          
     
  • 人目をもる ・・・ 人目を気にして避けるようにしている(人目守る)
  
現実ではしかたがないとしても、夢でさえ人目を気にして姿を現してくれないのはつらいことです、という歌。 「あらめ−人目」で 「め」を合わせ、「人目」から 「見る」につなげている。

  夢で人目を気にするという歌には有名な 559番の藤原敏行の「住の江の 岸による浪 よるさへや」という歌があるが、この小町の歌は、強く不満を言っているような、弱く我が身を嘆いているような不思議な雰囲気を持っている。

  恋歌二の冒頭にも小町の 「夢」の歌の三連続があったが、ここから再び小町の 「夢」の歌が三つ続く。ただ、残りの二つは男の立場での歌のようである。

 
657   
   かぎりなき  思ひのままに  夜も来む  夢ぢをさへに    人はとがめじ  
     
        「うつつ」という言葉が使われている歌の一覧は 647番のページを、「さへ」を使った歌の一覧は 
122番の歌のページを、「わびし」という言葉を使った歌の一覧は 8番の歌のページを参照。

 
( 2001/11/21 )   
(改 2004/03/10 )   
 
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