Top  > 古今和歌集の部屋  > 巻十八

       題しらず 読人知らず  
942   
   世の中は  夢かうつつか  うつつとも  夢とも知らず  ありてなければ
          
        世の中は夢なのか現実なのか、自分には現実とも夢とも分らない、なぜならそれは、有って無いものだから、という歌。三句目と四句目の揺らし方が特徴的である。

  「ありなし」ということでは 411番の「我が思ふ人は ありやなしやと」という業平の 「みやこ鳥」の歌などが思い浮かぶが、その 「あり」は 「元気でいる」というニュアンスで、ここでの 「存在する」というのとは少し意味が異なるが、「確かにある」という点では同じである。 「世(の中)」と組み合わせて 「ありなし」と言っている歌には、次のようなものがある。

 
443   
   あり と見て  たのむぞかたき  空蝉の  世をば なし とや  思ひなしてむ
     
943   
   世の中に  いづら我が身の  ありてなし   あはれとや言はむ  あなうとや言はむ
     
        「うつつ」という言葉が使われている歌の一覧については 647番のページを参照。

 
( 2001/11/01 )   
(改 2004/02/05 )   
 
前歌    戻る    次歌