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       題しらず 読人知らず  
485   
   かりこもの  思ひ乱れて  我が恋ふと  妹知るらめや  人しつげずは
          
     
  • かりこも ・・・ 刈り取った真菰 (マコモ:イネ科の植物)
  • 妹 ・・・ 親しい女性を指す言葉
  "かりこもの" は 「乱る」「思ひ乱る」にかかる枕詞。敷物にした時に乱れやすいのでそう言われたとされる。
私の心が入り乱れて恋しく思うとは、人が告げない限り、お前は知るまい、という歌。 
"妹" という言葉が使われている他の歌には、 1072番の 「みづくきぶり」の 「岡のやかたに 妹とあれと」という歌があり、167番の躬恒の歌でも 「妹と我が寝る 常夏の花」と使われている。

  また、この歌の後半は次の読人知らずの歌とほとんど同じである。

 
505   
   あさぢふの  小野のしの原  しのぶとも  人知るらめや    言ふ人なしに  
     
        「人(妹)知るらめや」という言葉が出てくる歌をまとめてみると次の通り。

 
     
485番    妹知るらめや  人しつげずは  読人知らず
504番    人知るらめや  しきたへの 枕のみこそ  読人知らず
505番    人知るらめや  言ふ人なしに  読人知らず
604番    しげき我が恋  人知るらめや  紀貫之
735番    なきて渡ると  人知るらめや  大友黒主


 
        似たような表現としては、535番と 614番の歌で使われている 「人は知らなむ」というものがある。 「思ひ乱る」という言葉を使った歌の一覧は 514番の歌のページを参照。

 
( 2001/10/29 )   
(改 2004/02/24 )   
 
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