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       題しらず 凡河内躬恒  
614   
   たのめつつ  あはで年ふる  いつはりに  こりぬ心を  人は知らなむ
          
        期待させながら、逢ってくれずに年が経つ、そんなあなたのウソにも、懲りることのないこの心を知ってもらいたい、という歌。一つ前の 613番の歌の下二段活用の「頼む」(=あてにさせる)という言葉を引き継ぐように置かれている。 「たのむ」という言葉を使った歌の一覧は、その 613番の歌のページを参照。

  "あはで年ふる" の 「年ふる」は "いつはり" を修飾して 「長い間の偽り」とつなげて見てかまわないだろう。 「年ふる」という言葉を使った歌の一覧は 596番の歌のページを、「いつはり」という言葉を使った歌の一覧は 576番の歌のページを参照。

  「人は知らなむ」と結ばれている歌には、535番の読人知らずの歌に「奥山の 深き心を 人は知らなむ」というものがあり、これらは 485番の歌などに出てくる 「妹(人)知るらめや」(=あの人は知っているだろうか)という気持ちを、「どうしてわからないのか」とより強く意思表示しているものとも考えられる。

 
( 2001/12/10 )   
(改 2004/03/09 )   
 
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