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       寛平の御時きさいの宮の歌合せのうた 素性法師  
47   
   散ると見て  あるべきものを  梅の花  うたて匂ひの  袖にとまれる
          
     
  • うたて ・・・ どうにも
  
散ってしまうものとただ見ておけばよかったものを、折り取ってしまったために袖にその香りが残ってしまっている、という歌。 「折る」という言葉を使わずに表しているところが面白い。

  その色香を愛でるために近くに置いておいたのだけれど、逆にそのために花が衰えてからもその移り香で心が乱されてしまう、という感じがよく出ている。素性にはまた次のような歌もある。

 
37   
   よそにのみ  あはれとぞ見し 梅の花  あかぬ色かは    折りてなりけり  
     
        古今和歌集の配列の中で見ると、一つ前には 46番の読人知らずの「春はすぐとも 形見ならまし」という、梅の香を袖に移そうという歌があり、一つ後には 48番の読人知らずの「散りぬとも 香をだに残せ」という歌がある。この間に割り込むようにして置かれているのがこの歌であり、単調にならないように工夫されている。

  「うたて」という言葉を使った歌には次のようなものがあり、1019番の誹諧歌で使われている 「うたた」という言葉も同じ意味だとされている。

 
     
47番    うたて匂ひの  袖にとまれる  素性法師
796番    心こそ  うたてにくけれ  読人知らず
939番    あはれてふ  ことこそうたて  小野小町


 
        「匂ふ」という言葉を使った歌の一覧については 15番の歌のページを参照。

 
( 2001/11/05 )   
(改 2004/02/13 )   
 
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