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       ひたちうた 読人知らず  
1096   
   つくばねの  峰のもみぢ葉  落ちつもり  知るも知らぬも  なべてかなしも
          
     
  • なべて ・・・ すべて (並べて)
  • かなし ・・・ いとおしい
  
「つくばね」の嶺のもみじ葉が広い範囲で散り落ちて積もるように、親しく知るものも、そうでないものも、みんないとおしく思うことである、という歌。 "つくばね" (筑波嶺)は、茨城県の筑波山。

  
「古今和歌集全評釈(下)」 (1998 片桐洋一  講談社 ISBN4-06-208753-7) では、この歌は、一つ前の 1095番の歌が「君が御影に ますかげはなし」と称えた 「君」が答えたものと解釈されており、そう考えるとわかりやすい。日の光があまねく照らすというイメージの紅葉バージョンと考えることもできる。また、 "知るも知らぬも なべてかなしも" という部分は、武蔵野を詠った 867番の読人知らずの「草はみながら あはれとぞ見る」というフレーズを思い出させる。

 「なべて」という言葉を使った歌の一覧は 334番の歌のページを、「かなし」という言葉を使った歌の一覧は 578番の歌のページを参照。

 
( 2001/11/19 )   
(改 2004/02/23 )   
 
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