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       やまひにわづらひ侍りける秋、心地のたのもしげなくおぼえければよみて人のもとにつかはしける 大江千里  
859   
   もみぢ葉を  風にまかせて  見るよりも  はかなきものは  命なりけり
          
        詞書の意味は 「病で苦しんでいた時の秋、死への不安を覚えたので、詠んで、ある人のもとにおくった」歌ということ。大江千里の没年は不明だが、903年に兵部大丞となっているので、少なくともその頃までは生存していたことがわかるが、この歌が哀傷歌に入れられていることから、920年までには亡くなったものか。

  
紅葉をそれが風に吹かれるままで見るよりも、はかなく見えるものは我が命である、という歌。今にも散ってしまいそうだ、ということである。 「命なりけり」と結ばれる他の歌に、97番の読人知らずの「あひ見むことは 命なりけり」という歌がある。千里の歌はこの歌を含めて十首が採られているが、その中でも次の二つと合わせて見たい。

 
271   
   植ゑし時  花待ちどほに  ありし菊  うつろふ秋に    あはむとや見し  
     
1065   
   白雪の  ともに我が身は  降りぬれど  心は消えぬ    ものにぞありける  
     
        「まかす(任す)」という言葉を使った歌の一覧については 87番の歌のページを、「はかなし」という言葉を使った歌の一覧については 132番の歌のページを参照。

 
( 2001/11/06 )   
(改 2004/01/27 )   
 
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