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       寛平の御時きさいの宮の歌合せのうた 大江千里  
271   
   植ゑし時  花待ちどほに  ありし菊  うつろふ秋に  あはむとや見し
          
     
  • 待ちどほに ・・・ 待ち遠しく
  
植えた時には花を楽しみにしていた菊だが、色が変わる秋にあうとは思っても見なかった、という歌。 "あはむとや見し" は反語。普通に読めば後半は残念な気持ちを表しているものと思われるが、278番や 279番の歌で詠われているように白菊は紫に色を変えるので、それを愛でていると見る説(「古今和歌集全評釈(上)」 (1998 片桐洋一  講談社 ISBN4-06-205979-7))もある。

  172番の「昨日こそ 早苗とりしか」という歌と違って、この歌では植えてから花が咲くまでに何年もかかっているという感じがする。それがようやく咲いたと思ったらもう色が変わりはじめた、こんなにあっけないものだとは思わなかったよ、という感じか。

  意味は別として、この歌の 「うつろふ秋」という言葉は一つ前の 270番の友則の 「老いせぬ秋」と並べられているような気もする。 「うつろふ」という言葉を使った歌の一覧については 45番の歌のページを参照。

 
( 2001/11/06 )   
(改 2004/01/13 )   
 
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