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       題しらず 読人知らず  
760   
   あひ見ねば  恋こそまされ  みなせ川  何に深めて  思ひそめけむ
          
     
  • みなせ川 ・・・ 水が地下に伏流として流れている川 (水無瀬川)
  
逢わないと恋しさが増さるけれども、頻繁に逢えないというのに、どうしてこれほど深く思うほど、あなたを思い初めたのだろう、という歌。

  恋が増さるということを増水のイメージに合わせたものに 587番の「まこも刈る 淀の沢水 雨降れば」という貫之の歌などがあるが、ここでは 「川」であっても、地表には水の流れない 「水無瀬川」であるので、いくら増しても深くなることはない、それなのにどうして...という趣向の歌である。初句の "あひ見ねば" とかぶるが、「みなせ」には 「見ない」ということを掛けている。 「あひ見る」ということを詠った歌の一覧については 97番の歌のページを、「思ひそむ」という言葉を使った歌の一覧は 471番の歌のページを参照。他に 「水無瀬川」を詠った歌には次の友則の歌と 793番の読人知らずの歌がある。

 
607   
   ことにいでて  言はぬばかりぞ  みなせ川   下にかよひて  恋しきものを
     

( 2001/12/04 )   
(改 2004/03/09 )   
 
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