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       題しらず 伊勢  
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   あひにあひて  物思ふころの  我が袖に  宿る月さへ  濡るるかほなる
          
        何度も逢った後で、物思いに沈む時の涙の袖に、映る月さえ濡れた顔をしています、という歌。何度も逢ったのに結局別れなければならない、という状況のように見える。

  はじめの "あひにあひて" という言葉がわかりづらい。いくつかの説があるが、
「古今和歌集全評釈(中)」 (1998 片桐洋一  講談社 ISBN4-06-205980-0) で示されている 「逢ひに逢ひて」というのが直感的で自然かと思われる。 176番や 634番の読人知らずの歌に「恋ひ恋ひて」というような言い方もある。

  「涙」という言葉を言わずに、"宿る月さへ 濡るるかほなる" としているところに趣きがある。 「月−物思ふころ」を組み合わせた他の歌としては、1059番に「三日月の われて物思ふ ころにもあるかな」という読人知らずの誹諧歌がある。 「さへ」を使った歌の一覧は 122番の歌のページを参照。

 
( 2001/10/17 )   
(改 2004/02/10 )   
 
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