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       題しらず 読人知らず  
634   
   恋ひ恋ひて  まれに今宵ぞ  あふ坂の  ゆふつけ鳥は  鳴かずもあらなむ
          
     
  • ゆふつけ鳥 ・・・ ニワトリ (木綿付け鳥)
  
恋しくて恋しくて、ようやく少ないチャンスで逢えた今宵は、ニワトリは朝を告げずにいて欲しい、という歌。"あふ坂" に 「逢ふ」を掛けている。 "まれに今宵ぞ" の部分は音としては、「まれに今宵」の方がよいような気もするが、「古今和歌集全評釈(中)」 (1998 片桐洋一  講談社 ISBN4-06-205980-0) を見る限り、そのような伝本はないようである。

  「まれに逢う」ということは、次の読人知らずの 「あふひ、かつら」の物名の歌にも出てくる。

 
433   
   かくばかり  あふ日のまれに   なる人を  いかがつらしと  思はざるべき
     
        また、他に 「恋ひ恋ひて」ではじまる歌としては、秋歌上に次の読人知らずの歌があり、道具立ては異なるが、内容も言葉遣いも非常に似ている。

 
176   
   恋ひ恋ひて    あふ夜は今宵   天の河  霧立ちわたり  明けずもあらなむ
     
        「あふ坂」を詠った歌の一覧は 374番の歌のページを、 「ゆふつけ鳥」を詠った歌の一覧は 995番の歌のページを参照。

 
( 2001/10/23 )   
(改 2004/02/25 )   
 
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