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       道にあへりける人の車にものをいひつきて、別れける所にてよめる 紀友則  
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   下の帯の  道はかたがた  別るとも  行きめぐりても  あはむとぞ思ふ
          
     
  • 下の帯 ・・・ 下袴などの紐
  詞書の意味は、「道で出合った女性の車に言い寄って、別れた所で詠んだ」歌ということ。離別歌の最後に置かれていて、「道」と 「別れ」を詠みこんでいるが、解釈が微妙な歌と詞書である。

  詞書の書き方からは、「ものをいひつき」た地点から 「別れける所」までは連続していて、二人が別の場所に移ったという感じはしない。とすると友則が車に乗り込んだか、ずっと車の外から口説いていたかのどちらかであろう。

  
下の帯の端が別々な方向に行ってもまた合わさって結ばれるように、ここで別れてもまた逢いたいと思う、という歌。"下の帯" は 「下紐」と同じで表に見せない下着を結ぶもの。 「下紐」は古今和歌集では 507番や 730番の恋歌で 「ほどける」ことが相手に逢える前兆として使われている。それはそれでいいのだが、この友則の歌は 483番の「あはずはなにを 玉の緒にせむ」という歌を下品にしただけのように見える。離別歌も最後にいたって 「下の帯」のようにグズグズにゆるくなってしまい、それが 「脱力感」という古今和歌集の一つの特徴にもなっている。 「道」つながりで 861番の業平の歌の言葉から借りると、まさか離別歌が下ネタで終わるとは 「思はざりしを」という感じか。

  「方」という言葉を使った歌の一覧は 201番の歌のページを参照。

 
( 2001/11/05 )   
(改 2004/03/09 )   
 
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