Top  > 古今和歌集の部屋  > 巻十一

       題しらず 読人知らず  
541   
   よそにして  恋ふれば苦し  入れ紐の  同じ心に  いざ結びてむ
          
     
  • よそに ・・・ 離れて
  • 入れ紐 ・・・ コブになった雄紐と、輪になった雌紐で結ぶ紐
  
離れて恋しく思いつづけるのは苦しいものだから、「入れ紐」のように、さあ結ばれよう、という歌。

  "入れ紐"は狩衣の盤領(まるえり:=首回りの丸い部分)などを止めるのに使用される紐のこと。譬えはストレートだが、 "同じ心に" とあるので露骨さが少し緩和されている。本居宣長は「古今和歌集遠鏡」でこの歌の後半を 「
両方ノ紐ヲ一所ヘムスビ合スヤウニ  ドレヤコレカラハ一所ニ居ルヤウニセウゾ」と訳している。この歌は恋歌一にあるが、似たような譬えの次の友則の歌は離別歌の最後に置かれている。

 
405   
   下の帯の   道はかたがた  別るとも  行きめぐりても  あはむとぞ思ふ
     
        「よそ」という言葉を使った歌の一覧は 37番の歌のページを参照。

 
( 2001/11/05 )   
(改 2004/02/24 )   
 
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