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       これさだのみこの家の歌合せのうた 読人知らず  
266   
   秋霧は  今朝はな立ちそ  佐保山の  ははそのもみぢ  よそにても見む
          
     
  • ははそ ・・・ 木の名前。ナラ、コナラ、ブナ、カシワなど諸説ある。 (柞)
  
秋霧は今朝は立つな、佐保山の「ははそ」の紅葉を遠くからでも見たいから、という歌。 "今朝" 
と "よそ" という言葉が気になる歌である。 "よそ" は 「外/他の場所/自分とは関係のない状態」などを指す言葉で、ここでは別の場所、離れた場所という意味であろう。旅の途中で、佐保山には直接行かないけれど、それが見えるところを通りがかるので、という感じか。

  「佐保山のははそ」を詠んだ歌としては他に、次の二つの歌がある。

 
267   
   佐保山の    ははその 色は  薄けれど  秋は深くも  なりにけるかな
     
281   
   佐保山の    ははその もみぢ  散りぬべみ  夜さへ見よと  照らす月影
     
        また、 "秋霧は 今朝はな立ちそ" という出だしは、17番の「春日野は 今日はな焼きそ」という歌を思い出させる。 「秋霧」を詠った歌の一覧は 210番の歌のページを、「よそ」という言葉を使った歌の一覧は 37番の歌のページを参照。

 
( 2001/12/07 )   
(改 2004/02/26 )   
 
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