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       題しらず 読人知らず  
1037   
   ことならば  思はずとやは  言ひはてぬ  なぞ世の中の  玉だすきなる
          
     
  • ことならば ・・・ 同じことならば
  • 言ひはて ・・・ すっかり言う (言ひ果つ)
  • なぞ ・・・ どうして
  • 玉だすき ・・・ 襷(たすき)の美称
  
どうせ同じことなら、「思っていない」と言い切れないのか、どうして世の中はこう 「たすき」のように、人に思いを掛けずにいられないものなのか、という歌。

  "言ひはてぬ" の 「ぬ」は打消しの助動詞「ず」の連体形。 「やは」はここでは疑問を表している。 
「やは」を使った歌の一覧は 106番の歌のページを参照。また、「言ひ果つ」の主語は、「言い切ってくれないだろうか」というように、相手であるとする解釈が一般的だが、自分を主語として、長くは続かないだろう恋を詠ったものと見てよいような気がする。

  "玉だすき" は 「掛ける・懸ける」ものということで、 487番に「ひと日も君を かけぬ日はなし」という 「木綿襷」を使った読人知らずの歌があるほか、契沖「古今余材抄」などであげられているように、万葉集・巻十二2992に次のような歌がある。

    玉だすき かけねば苦し かけたれば 継ぎて見まくの 欲しき君かも

  「ことならば」という言葉を使った歌の一覧は 82番の歌のページを、「なぞ」を使った歌の一覧は 232番の歌のページを参照。

 
( 2001/11/14 )   
(改 2004/03/16 )   
 
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