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       題しらず 壬生忠岑  
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   隠れ沼の  下よりおふる  ねぬなはの  ねぬなは立てじ  くるないとひそ
          
     
  • 隠れ沼 ・・・ 水草に覆われて隠された沼 (カクレヌ)
  • ねぬなは ・・・ ジュンサイ (水草の名前:根ぬなは)
  
隠れ沼の底から生える 「ねぬなは」の名のように、共に寝ずに仲が悪いという噂は立てまい、だから私が来ることを嫌がってはいけない、という歌。ふざけているのだろうが、どこか暗く湿った、夜這いのイメージの歌である。

  "くるないとひそ" という部分がわかりづらいが、「来る+な+厭ひ+そ」で、「来ることを嫌がるな」ということ。 "ねぬなは" には 「寝ぬ名」(=仲が悪くて一緒に寝ていないという噂)を掛けており、さらにその中の 「なは(縄)」から 「繰る」につなげていると言われている。

 
( 2001/12/05 )   
(改 2004/02/17 )   
 
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