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       題しらず 神退法師  
925   
   清滝の  瀬ぜの白糸  くりためて  山わけごろも  織りて着ましを
          
     
  • 山わけごろ ・・・ 修行僧などが山道を行く時に着ける衣 (山分け衣)
  
あの清滝の白糸を手繰って集めて、「山分け衣」を織って着られたらよいものを、という歌。神退(しんたい)法師は生没年および仔細不明。古今和歌集に採られている歌はこの一首のみ。"清滝" は一般名詞か、地名かは不明。

  地味な歌だが、"山わけごろも" という言葉が効いていて、これのために歌から臭味が消えているような感じがする。「繰り+ためて」/「織りて+着まし」という二つの連語も重なりも面白い。 "織りて着ましを" 「まし」は反実仮想を表す助動詞。 「〜ましを」という言葉を使った歌の一覧は 236番の歌のページを参照。

  「清し」ということを詠った歌をまとめてみると次のようになる。 「清水」については 537番の歌のページを、「さやか」という言葉を使った歌の一覧については 169番の歌のページを参照。

 
     
304番    風吹けば  落つるもみぢ葉 水清み  凡河内躬恒
316番    大空の  月の光し 清ければ  読人知らず
666番    白川の  知らずともいはじ 底清み  平貞文
885番    大空を  照りゆく月し 清ければ  尼敬信
925番    清滝の  瀬ぜの白糸 くりためて  神退法師


 
( 2001/11/19 )   
(改 2004/03/12 )   
 
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