Top  > 古今和歌集の部屋  > 巻十七

       題しらず 読人知らず  
908   
   かくしつつ  世をやつくさむ  高砂の  尾上に立てる  松ならなくに
          
     
  • 尾上(をのへ) ・・・ 山の頂
  
このようにして寿命の残りを減らしてゆくのか、高砂に立つ松のように長く生きられるわけでもないのだから、という歌。次の藤原興風の歌と共に「高砂の松と人の老い」をテーマにしている。この歌の "松ならなくに" に対して 「友ならなくに」となっているのは興風の方からの歩みよりであろうか。

 
909   
   誰をかも  知る人にせむ  高砂の    松も 昔の  友ならなくに  
     
        これら二つの歌で使われている 「なくに」は順接(=〜ないのだから)である。その他の順接の 
「なくに」については、19番の歌のページを参照。

  「高砂の尾上」ということでは、次の秋歌上の藤原敏行が有名であり、「かくしつつ」という出だしでは次の仁和帝(=光孝天皇)が僧正遍照に七十の賀を賜った歌がある。

 
218   
   秋萩の  花咲きにけり  高砂の    尾上 の鹿は  今や鳴くらむ
     
347   
   かくしつつ   とにもかくにも  ながらへて  君が八千代に  あふよしもがな
     

( 2001/12/04 )   
(改 2004/01/13 )   
 
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