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       題しらず 読人知らず  
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   あはれとも  憂しとも物を  思ふ時  などか涙の  いとなかるらむ
          
     
  • あはれ ・・・ いとおしい
  • などか ・・・ どうして
  
いとおしいとも、辛いともとも、物を思う時、どうして涙は止まらないのだろう、という歌。

  「あはれ」は心が揺す振られるという感じで、「憂し」は心が重く、嫌だなと思うこと。 「あはれ/憂し」ということでは、 897番の「あはれあなうと すぐしつるかな」という歌や、 943番の「あはれとや言はむ あなうとや言はむ」という歌が連想される。 「あはれ」という言葉を使った歌の一覧は 939番の歌のページを参照。また、涙ということでは 941番の「まづ知るものは 涙なりけり」という読人知らずの歌が思い出される。

 "いとなかるらむ" は、「暇(いと)なし」と見る説と 「いと+流る」と見る説があるが、「涙」が近くにあるので、「暇(いと)なし」をベースとして 「いと+流る」も掛けていると見てよさそうに思われる。「いと」という言葉が使われている歌の一覧は 209番の歌のページを参照。 「など/などか」という言葉を使った歌の一覧は 155番のページを参照。

 
( 2001/12/03 )   
(改 2004/03/09 )   
 
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