Top  > 古今和歌集の部屋  > 巻十一

       題しらず 読人知らず  
547   
   秋の田の  穂にこそ人を  恋ひざらめ  などか心に  忘れしもせむ
          
     
  • などか ・・・ どうして
  
恋しい気持ちを外にあらわにはしないけれど、どうして心の中で忘れるようなことがあるだろうか、という歌。 「穂に恋ふ」は 「穂に出でて恋ふ」ということで、「隠していた気持ちを明らかにして恋をする」ということ。 「穂に出づ」という表現を使った歌の一覧は 243番の歌のページを参照。 "恋ひざらめ" は 「恋ひ+ざら+め」で、「恋ふ」の未然形+打消しの助動詞「ず」の未然形+推量の助動詞「む」の已然形。否定形+「などか」で反語を表わしている。

  この歌に続いて同じ 「秋の田の穂」を使った次の歌が置かれていて、内容はやはり 「忘れない」ということだが、「稲妻」という小道具が加えられている。

 
548   
   秋の田の   の上を照らす  稲妻の  光の間にも  我や忘るる
     
        "などか" という言葉は、二つ先の 549番の歌にも使われており、二つの歌は、 "などか" を軸とした表裏の関係のように見える。また、それ以外の恋歌の中で使われている例としては、恋歌五に次の読人知らずの歌がある。

 
805   
   あはれとも  憂しとも物を  思ふ時  などか 涙の  いとなかるらむ
     
        「など/などか」という言葉を使った歌の一覧は 155番のページを参照。

 
( 2001/12/03 )   
(改 2004/02/26 )   
 
前歌    戻る    次歌