Top  > 古今和歌集の部屋  > 巻十五

       返し 在原業平  
785   
   行きかへり  空にのみして  ふることは  我がゐる山の  風はやみなり
          
     
  • ふる ・・・ 時間を過す
  • 風はやみ ・・・ 風が早いから
  
行ったり来たりして、ただうわの空で過ごしているのは、住んでいる場所の風当たりが強いからだよ、という歌。だから夜になると風のままによそへ出かけてゆくのさ、という感じである。 783番の小野貞樹の歌の「風のまにまに」という言葉が思い出される。

  その妻である紀有常女(きのありつねのむすめ)が次の歌のように、昼は来て夕方になるとどこかへ出かけてゆく業平を空に浮かぶ雲のようだと責めているのに対して、自分を山の雲の様子に見立てて皮肉で返しているもので、要は夫婦の口喧嘩のやりとりである。

 
784   
   天雲の    よそ にも人の  なりゆくか  さすがに目には  見ゆるものから
     
        この業平の歌の場合、「空にのみ」とは元の歌が 「天雲のよそ」と言ったことを受けているものだが、同時に 「うわの空で・気持ちが落ち着かず」ということを表している。恋歌の中で 「空」という言葉を使っている歌の一覧は 481番の歌のページを参照。 「経(ふ)」という言葉が使われている歌の一覧は 596番の歌のページを参照。

  また "風はやみなり" という部分で使われている 「名詞+形容詞の語幹+み」のかたちを持った歌の一覧について 50番の歌のページを参照。

 
( 2001/09/20 )   
(改 2004/02/09 )   
 
前歌    戻る    次歌