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       題しらず 壬生忠岑  
628   
   陸奥に  ありと言ふなる  名取川  なき名とりては  くるしかりけり
          
     
  • なき名 ・・・ 事実でない恋の噂
  
陸奥(みちのく)に名取川というものがあると聞くが、名声ならよいが 「なき名」で評判をとっては苦痛である、という歌。 「名取川」は現在の宮城県名取市閖上(ゆりあげ)を流れる名取川。

  三句目までは序詞とも考えられるが、「あり(有り)」が後半の 「なき(無き)」に関係してくるので無駄のない感じにまとまっている。 「あり−なし」と 「川」いうことでは、 793番の「みなせ川 ありて行く水 なくはこそ」という歌が思い出され、「陸奥」つながりで言えば 1092番に「のぼればくだる 稲舟の」という 「最上川」の歌がある。この歌の他に 「名取川」を使った歌としては、次の読人知らずの歌がある。

 
650   
   名取川   瀬ぜのむもれ木  あらはれば  いかにせむとか  あひ見そめけむ
     
        「なき名」という言葉を使った歌の一覧は 629番の歌のページを参照。

 
( 2001/10/16 )   
(改 2004/03/15 )   
 
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