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       題しらず 読人知らず  
521   
   つれもなき  人を恋ふとて  山彦の  答へするまで  なげきつるかな
          
        冷たい人だけれども恋しくて、山彦が答えるほど大きなため息をついてしまったよ、という歌。大げさで誹諧歌のようだが恋歌一に採られている。

  "山彦の 答へするまで" とは、ため息の大きさを表すと共に、それだけのことをしても相手にはまったく気持ちが伝わらないということを表している。 「まで」は 「〜するほどに」ということ。  "なげきつるかな" は 「なげき+つる+かな」で 「嘆く」の連用形+完了の助動詞「つ」の連体形+詠嘆の終助詞「かな」。この歌は同じ恋歌一にある次の読人知らずの歌とペアで見たい。

 
539   
   うちわびて  よばはむ声に  山彦の   答へぬ山は  あらじとぞ思ふ
     
         「つれもなき人」という言葉を使った歌の一覧については 486番の歌のページを参照。

 
( 2001/11/20 )   
(改 2004/01/01 )   
 
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