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       からはぎ 読人知らず  
448   
   空蝉の  殻は木ごとに  とどむれど  魂のゆくへを  見ぬぞかなしき
          
        「カラハキごとに」の部分に題の 「からはぎ」が含まれている。 「からはぎ」は 「唐萩」であろうとされるが、具体的にどような植物を指すのかは不明。

  歌の意味は、
蝉の殻は木ごとに残っているけれど、魂の行方がわからないのが哀しい、ということ。 "木ごとに" には 「棺(き)ごとに」が掛けられているとされている。それに沿って見れば 「空蝉=現世/殻=人間の体」ということになる。ただ、その線を表に出すと "魂のゆくへを  見ぬぞかなしき" という後半が当たり前すぎてつまらなくなるような気もする。

  "木ごとに" という言葉を使った歌としては、「木+毎=梅」の次の友則の歌が冬歌にある。

 
337   
   雪降れば  木ごとに 花ぞ  咲きにける  いづれを梅と  わきて折らまし
     
        「空蝉」という言葉を使った歌の一覧は 73番の歌のページを、「ゆくへ(行方)」という言葉を使った歌の一覧は 80番の歌ページを、「かなし」という言葉を使った歌の一覧については、578番の歌のページを参照。

 
( 2001/05/03 )   
(改 2004/03/09 )   
 
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