| 題しらず | 読人知らず | |||
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 「けぬらし」の 「け」は 「消ゆ」の連用形である 「きえ」が kie→ke 短縮された形であり、雪が水に消えるということで「減 (loss)」を指向し、後半の "音まさる" という 「増 (gain)」と対比させている。また、 "たぎつ瀬 の音の騒がしさと、降っては静かに川の中に消えてゆく雪の対比も感じられる。 「〜ぬらし」というかたちが使われている歌の一覧は 192番の歌のページを参照。 作者の位置は雪が降っている山の中で、川の様子は見えないけれどその音が聞こえる、という状態なのだろう。続く次の歌では奥山の 「増水」を 「もみぢ葉」に見るということで、この歌と上流/下流として並べられている。  | 
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|   またこの歌は、「田村の御時に、女房のさぶらひにて御屏風のゑ御覧じけるに、滝落ちたりける所おもしろし、これを題にてうたよめ、とさぶらふ人に仰せられければよめる」という詞書を持つ、930番の三条町の「思ひせく 心の内の 滝なれや」という歌を思い出させる。 | 
| ( 2001/08/18 )    (改 2004/03/12 )  | 
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