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       題しらず 読人知らず  
318   
   今よりは  つぎて降らなむ  我が宿の  薄おしなみ  降れる白雪
          
     
  • つぎて ・・・ 続いて
  • おしなみ ・・・ 押しなびかせて (押し靡む)
  
これからは、ずっと降ってほしい、我が家の庭の薄を押しなびかせて降る白雪は、という歌で、
 "降らなむ" は降るの未然形+「なむ」なので願望を表わしている。 "おしなみ" という言葉が少しわかりづらいが、雪がその重さで薄をたわませているようなイメージか。

  似たような「雪よ降れ」という歌としては、333番に読人知らずの「消ぬがうへに またも降りしけ 春霞」という歌がある。 「雨よ降れ」という歌には、829番の小野篁の「泣く涙 雨と降らなむ」の歌や、次の読人知らずの歌のように否定的なニュアンスが感じられるが、雪については、寒くて嫌なものである反面、白くて美しいものというイメージがあるのは現代と変わらないようである。

 
775   
   月夜には  来ぬ人待たる  かきくもり  雨も降らなむ   わびつつも寝む
     
        また、薄に雪という取り合わせは、薄の穂が白いことにも関係がありそうである。

 
( 2001/10/19 )   
(改 2003/11/30 )   
 
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