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       これさだのみこの家の歌合せのうた 読人知らず  
278   
   色かはる  秋の菊をば  ひととせに  ふたたび匂ふ  花とこそ見れ
          
        寒くなるにつれ色が変わって行く秋の菊を、一年のうちに二度華やぐ花なのだと思う、という歌で白菊が変色して紫に変わってゆくことをを詠っている。

  "色かはる 秋の菊をば" の 「をば」は、「色が変わる秋の白菊をば」という気持ちであろう。 「こそ」の係り結びで最後が 「見れ」と已然形になっている。この歌ではこれらの 「をば/こそ」という強調の言葉が目につくが、古今和歌集の中でこの組み合わせのある歌を見てみると、「こそ〜をば〜」と逆の順で使われているパターンもあり面白い。

 
     
278番    秋の菊をば  花とこそ見れ  読人知らず
397番    花をば雨に 濡らせども  惜しとこそ思へ  紀貫之
606番    思ひのみこそ わびしけれ  我がなげきをば  紀貫之
728番    目にこそ見えね  身をば離れず  下野雄宗
807番    ねをこそなかめ  世をばうらみじ  藤原直子
947番    世をばいとはむ  心こそ  素性法師


 
        また、 "ひととせに ふたたび匂ふ 花" という表現は、131番の藤原興風の「ひととせに ふたたびとだに 来べき春かは」という春の歌と呼応しているようにも見える。 "ふたたび匂ふ" の「匂ふ」は 「美しく輝く」ということ。菊の芳香だとすると「ふたたび」ということが理屈に合わないと思われる。 「匂ふ」という言葉を使った歌の一覧は 15番の歌のページを参照。

 
( 2001/11/22 )   
(改 2004/01/13 )   
 
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