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       春のうたとてよめる 素性法師  
96   
   いつまでか  野辺に心の  あくがれむ  花し散らずは  千代もへぬべし
          
        いつまで野辺に心が惹かれることか、もし花が散ることがなければ、永遠にその憧れが続くだろう、という歌。同じ素性の一つ前の歌や、「おもふどち 春の山辺に うちむれて」という126番の歌にもあるように、楽しい遊びの場としての野辺を思う歌で、もし花が散るという終了の合図がなければ、いつまでも心が離れないだろう、ということである。

  やがて花が散って、夏草が茂り、しだいにその記憶が薄れてゆくが、次の宴を思う時、それは再びめぐってくる春を待つ必要は無い。秋歌上に次のような平貞文の歌がある。

 
238   
   花にあかで  何かへるらむ  女郎花   おほかる野辺に  寝なましものを
     

( 2001/11/21 )   
(改 2004/03/11 )   
 
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