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       題しらず 讃岐  
1055   
   ねぎことを  さのみ聞きけむ  やしろこそ  はてはなげきの  もりとなるらめ
          
     
  • ねぎことを ・・・願い事(祈ぎ事)
  • さのみ ・・・あまりに
  • やしろ ・・・神社
  
願い事をたくさん聞いてきたと思われるこの神社は、ついには嘆きの森(杜)になってしまうでしょう、という歌。讃岐は安倍清行の娘。清行が讃岐守であったことからそう呼ばれた。古今和歌集にある歌はこの一首のみ。

  "なげき" には 「嘆き−投げ木」が掛けられていると言われる。「投げ木」とは正確な意味は不明だが、現代でも残っている言葉の中では 「焚き木」が近い意味かと思われ、続く二つの歌でも 「嘆き」と掛けられて使われている。

 
1056   
   なげき こる  山とし高く  なりぬれば  つらづゑのみぞ  まづつかれける
     
1057   
   なげき をば  こりのみつみて  あしひきの  山のかひなく  なりぬべらなり
     
        "はては" という言葉は、128番の貫之の歌で「はてはものうく なりぬべらなり」と使われており、「〜こそ〜なるらめ」というかたちは、259番の「置けばこそ 山の木の葉の ちぐさなるらめ」という読人知らずの歌に見られる。

 
( 2001/09/06 )   
(改 2004/02/19 )   
 
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