Top  > 古今和歌集の部屋  > 巻五

       題しらず 読人知らず  
259   
   秋の露  色いろことに  置けばこそ  山の木の葉の  ちぐさなるらめ
          
     
  • ことに ・・・異なって
  • ちぐさ ・・・様々な様子(千種)
  
秋の露が色々と異なって置くために、山の木の葉は様々な色になるのだろう、という歌。

「秋になるとなぜ木の葉の色が変わるのか」ということの理由付けとして、露の置き方が異なるからだ、と言っているものだが、「色いろことに置く」という部分が少しわかりづらい。 「こと」は 「毎」と見る説と 「異」と見る説の二つがあるが、どちらでも大した違いはないように思われる。

  この歌は次の二つの歌とまとめられて置かれているが、その点から見ると、「山の木の葉」という表現の方が気になる。 290番の歌に「色のちぐさに 見えつるは 秋の木の葉の 散ればなりけり」といっているのと並べて見るのも面白いかもしれない。

 
257   
   白露の  色はひとつを  いかにして  秋の木の葉を  ちぢに 染むらむ  
     
258   
   秋の夜の  露をば露と  置きながら  雁の涙や  野辺を 染むらむ  
     
        また「山の木の葉」という言葉にこだわれば、「山の木はそれぞれ生えている高さが異なるので露の置き方が違うのかも」と言っているとも考えられる。

 
( 2001/08/28 )   
(改 2003/11/17 )   
 
前歌    戻る    次歌