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       題しらず 読人知らず  
1045   
   いとはるる  我が身は春の  駒なれや  野がひがてらに  放ち捨てつつ
          
     
  • いとはる ・・・ 嫌われる
  • 駒 ・・・ 馬
  • 野がひ ・・・ 野に放ち飼いにすること
  • がてら ・・・ ついでに
  
嫌われているこの身は、春の馬でしょうか、あなたは野で放ち飼いをするように私を遠ざけて、ついでに見捨てていってしまいました、という歌。 753番の「いとはれてのみ 世をばへぬらむ」という友則の歌が思い出される。

   "いとはるる" は、「いとは+るる」で「厭ふ」の未然形+「る」の連体形。 "野がひ" には、「嫌って遠ざける」という意味の 「のがふ」が掛けられていると言われている。 「駒」を詠った歌の一覧は 111番の歌のページを、「〜なれや」という言葉を使った歌の一覧は 225番の歌のページを参照。この歌の場合、「捨つ(すつ)」の主語は相手だが、「捨つ(すつ)」を使って、自分が 「身を捨てる」ということを詠った歌に次の藤原興風の歌がある。

 
1064   
   身は捨てつ   心をだにも  はふらさじ  つひにはいかが  なると知るべく
     

( 2001/11/01 )   
(改 2004/02/18 )   
 
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