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       題しらず 読人知らず  
1044   
   紅に  染めし心も  たのまれず  人をあくには  うつるてふなり
          
        紅に染めたと言ったあなたの心も、今では頼みにはできません、紅も 「灰汁(あく)」で色褪せると言いますから、飽きたら他人に心が移るでしょう、という歌。  「飽く」に 「灰汁(あく)」を掛けている。
 「灰汁」は灰を水で溶いた時の上澄みの水で、脱色に使われた。

  「紅に染めし/飽く」の主語は、自分か相手か微妙なところである。 「染めし」と 「人」を強く見れば自分、「たのまれず」と 「てふ」を強く見れば相手というところか。ここでは、前後の歌の関係から相手と見ておく。 "紅に染めし心" を詠ったものとしては、723番に「紅の 初花染めの 色深く 思ひし心」という読人知らずの歌があり、「紅」を詠った歌の一覧は、その 723番の歌のページを参照。

  「たのむ」という言葉を使った歌の一覧については 613番の歌のページを参照。また、"うつるてふなり" の 「うつる」を使った歌の一覧については 104番の歌のページを、「〜てふ」という表現を持った歌の一覧については 36番の歌のページを参照。

 
( 2001/10/30 )   
(改 2004/03/06 )   
 
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