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       題しらず 読人知らず  
1039   
   思へども  思はずとのみ  言ふなれば  いなや思はじ  思ふかひなし
          
     
  • いなや ・・・ いやだ (否や:感動詞)
  
こちらは思っても、あなたは「思っていない」とばかり言うので、もういやだ、思うのはよそう、思っても甲斐がないから、という歌。

  「思へども」という言葉を使った歌の一覧は 373番の歌のページを参照。 「いな」という言葉からは、1092番の「稲舟の いなにはあらず この月ばかり」という歌が思い出される。また、似たような 「思ふ」のこねまわしの歌としては、次のような読人知らずの歌もある。

 
1041   
   我を 思ふ   人を 思はぬ   むくいにや  我が 思ふ 人の  我を 思はぬ  
     
        また、あまりにも面白味がない歌なので、681番の伊勢の歌の「我が面影に はづる身なれば」という歌からの連想で、二句目は 「面恥づ」(恥ずかしくて顔を見せられない)に合わせたいところだが、「思は」であるので、それはやはり無理であろう。

 
( 2001/10/15 )   
(改 2004/02/18 )   
 
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